出展元:https://www.amazon.co.jp/dp/4866471158/?tag=cinema-notes-22
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」はルイーザ・メイ・オルコットが1868年に発表した小説「若草物語」が原作です。
小説「若草物語」は家族愛と女性の自立を描いた名作として世界中で読み継がれてきました。
グレタ・ガーウィグ監督によって映画化された今回の作品は、原作の持つ雰囲気を残しながらも現代的な視点をもっています。
作品は女性の自立や幸せの形をよりクリアに追求した感動作に仕上がっています。
今回は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語第」をマーチ家の四姉妹それぞれにとっての幸せの形は何なのかの視点で考察します。
そもそも女性にとって結婚・お金・仕事・表現とは何であるのかに迫ります。
第92回アカデミー賞では作品賞、主演女優賞(シアーシャ・ローナン)、助演女優賞(フローレンス・ピュー)、脚色賞、作曲賞、衣装デザイン賞の6部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
マーチ家四姉妹の幸せの形
幸せの形は人それぞれにとって様々です。避けなくてはいけないのは自分自身に向き合うことなく一般的な幸せの形にこだわってしまうことです。
マーチ家の四姉妹メグ・ジョー・ベス・エイミーは自分自身の人生を生き抜こうとしています。
それでは四姉妹の幸せの形とはどのようなものなのか見てみましょう。
メグ
メグは女優志望で裕福な暮らしに憧れる四姉妹の長女です。
メグはジョーの反対を押し切って経済的には決して豊かとはいえない結婚生活をおくることになります。
メグは、つましくあっても夫婦互いに信頼し合い、自分自身の心の声との葛藤が少ない静かで安定した人生を選びました。
彼女を「自分の夢を追求することなくありきたりな人生をおくった」と決めつけてはいけません。
少女時代四姉妹の中では最も華やかであったはずのメグが大人になって自分本来の幸せを見つけます。
心の内の声に耳を澄まし、自分本来の人生の形にたどり着く姿は多くの若い女性の共感を呼ぶはずです。
ジョー
ジョーはこの作品の主人公的位置づけで、原作者オルコット自身であり、ある意味グレタ監督の分身ともいえます。
様々な困難な現実に向き合いながら作家を目指してひたすら自分の野望を追求する姿は一般女性から見ると、少し眩しく映るかもしれません。
しかしジョーは袖にしたかつての恋人が妹エイミーと近づいた際に燃え上がるどうしようもない嫉妬心に身を焦がし一人孤独感に震えます。
このジョーの姿には、恋愛関係に悩み大都会の砂漠で日々孤独な毎日を過ごす現代女性と重なる部分があります。
最終的に売文家ではなく真の意味で作家となる茨の道を選ぶ姿には同じ表現者であるグレタ監督自身のかく在りたいという姿勢が伺われます。
これは創造的な仕事に携わり妥協を迫られながら何とか自己主張も貫こうとする現代女性の日々の悩みにも相通じるものがあります。
ベス
三女ベスは幸せだったのでしょうか。彼女の幸せの形は四姉妹の中で解釈が一番難しいところです。
音楽特にピアノを弾くことが好きでしたが、それで何かを成し遂げようとする野望があったとは思えません。
あまりにもけなげでナチュラルな振る舞いと人生は自己満足による幸せの形とも決していい切れない部分があります。
ひょっとしたら家族・姉妹の幸せを一番思っていたのはベスかも知れません。
そして結局は自分が結節点となって家族・姉妹の絆が維持されていることを彼女自身も本当はわかっていたのかも知れません。
グレタ監督による物語の展開はそれを暗示しています。
エイミー
エイミーにも画家になる夢がありました。強い野望や気の強さはジョーと似通った部分があります。
でも選んだ道はジョーとは正反対でした。自分の才能に見切りをつけ、結婚して家族を支える側に回ったのでした。
ジョーとエイミーは紙一重の差だったのです。
エイミーにもジョーがとった選択肢の道もあり得たし、ジョーにもエイミーになる可能性は大いにありました。