ざっくり言うと、FBIは大統領の命令に逆らってでも事件について調査し、CIAはそれを止めようとしました。
大統領からも、FBIに対する捜査中止を要求する命令が出ています。しかし結局FBIは、捜査を続行し続けました。
本作において、マイケルが最初に「プリン」と判断した男は殺されて電車の地下に入れられています。その男は、FBI捜査官でした。
つまり、FBIが事件について秘密裏に追っていたのです。マイケルはそれを良くない意味で見抜いてしまい、政府側に情報提供したのでした。
まさにウォーターゲート事件のように、FBIが裏で捜査している場面を映し出したのが、冒頭の「プリンの勘違い」なのです。
黒幕の手先がジョアンナ
政府が黒幕だと仮定すると、マイケルにお金をちらつかせて行動させたジョアンナは、政府の手先だということになります。
しかし、作中ではジョアンナこそが黒幕であるかのような発言がところどころで聞かれます。
電車内の騒動を作った
作中「人間行動学者」を名乗るジョアンナは、本作の分かりやすい黒幕です。
マイケルにお金をちらつかせ、どこからかけているかも分からないまま、いろいろな人の携帯を通じてマイケルの行動を監視します。
他にも、ギターケースを持っていた黒人に、マイケルと同じようなうたい文句で行動させていました。
まさに人の行動を読み取り、動かす「人間行動学者」らしい動きに、ジョアンナが黒幕であったことが予想されます。
俺が思うに、マーフィーが消えれば君たちは安泰。列車で少女が死んでも安泰。君は役目を果たし我々を巻き添えにして姿を消す。
引用:トレイン・ミッション/配給会社:ライオンズゲート
これはエンドロール直前の、マイケルからジョアンナに対するセリフ。これからも、ジョアンナが黒幕だと判断できます。
しかし、ジョアンナがそうする目的が分かりません。そこで、先述した政府がジョアンナを操っていたと考えると腑に落ちます。
キャスターや民衆は気付いていない
電車が脱線する事故が起き、当初はマイケルがその首謀者だとして報道されていましたが、結局マイケルは英雄扱いされます。
このあたりの流れは『フライト・ゲーム』と酷似していました。
本作で電車事故がある程度片付き、次のシーンに移るとき、事件を知らせるキャスターはこう語っています。
首謀者と見られるナゾの女は実在するのでしょうか
引用:トレイン・ミッション/配給会社:ライオンズゲート
おそらく「ナゾの女」とはジョアンナのことです。さらにFBIのホーソーン警部も、ジョアンナの存在を追っています。
つまりジョアンナこそが「首謀者」と国民は見ており、政府の関与は見えていないのです。
とは言っても少しずつ出始める
実は先ほど紹介したキャスターの声の直前、別のキャスターの声もあります。
そこには、少しずつ公の機関がこの事件に関与していることを示唆する声が混ざっていました。
市長の関与が…共謀容疑で…市役所と関係が…
引用:トレイン・ミッション/配給会社:ライオンズゲート
このキャスターたちの声からも少しずつ、公の機関が事件に関与している、という情報が漏れていることが分かります。
ジョアンナは確かに、この事件においては首謀者です。しかし、そのジョアンナを動かした人・組織がいます。
その始まりはニューヨーク市であることをこのシーンでは示唆しており、やがて政府へとつながっていく序章でもあったのです。
ジョアンナが口を滑らせた「大きな権力者」
作中でジョアンナは、自分よりもっと「上」の立場の人たちがいる、という情報を言ってしまう場面があります。
黒幕は自己保身に必死よ。大変な権力者たち…家族も乗客も皆殺しよ。あなたのせいで
引用:トレイン・ミッション/配給会社:ライオンズゲート
ジョアンナはすでに、「黒幕」に自分より上の立場の人がいることを言ってしまっているし、「大変な権力者たち」とも言ってました。
これはマイケルがギターケースを持つ黒人を、マイケルが外に放り投げた後の場面。
「自己保身」に躍起になる「大きな権力者」とは…
ウォーターゲート事件の内容が彷彿される言葉ではないでしょうか。また、このセリフをジョアンナは、若干ヒステリックに言います。
なぜそうなるのかというと、ジョアンナもマーフィーやマイケルと同じように、何かを人質に取られていると考えることが可能だからです。
だからこそ、言うとおりに動いてくれないマイケルにいら立ち、言葉に焦りの色が見えるのでした。
ラストの警官バッヂで「復讐」を始める
映画のラストでは、マイケルが警官バッヂをジョアンナに見せるところでエンドロールを迎えます。
マイケルがジョアンナを「捕まえる」と思われがちなあのシーン、実はその真逆なのです。
ジョアンナが読んでいる本は「復讐」がテーマ
ラストで本を読んでいるジョアンナに、マイケルが近づき声をかけます。