出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B015APS2P4/?tag=cinema-notes-22

映画『野火』は大岡昇平の原作小説を1959年に大映が実写化した作品です。

市川崑監督と和田夏十脚本、そしてカメラマン小林節雄と充実したスタッフが揃っています。

キャストも主演の船越英二を中心にミッキー・カーチス、滝沢修と超一流の布陣です。

フィリピンのレイテ島を舞台にして死の直前における極限状態の人間の心理を見事に描き出しました。

戦争文学として1つの到達点ともいうべき本作はその完成度の高さから以下を受賞しています。

1959年度キネマ旬報ベスト・テン第2位、脚本賞、主演男優賞(船越英二)、ロカルノ国際映画祭グランプリ受賞。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/野火_(小説)

本稿では田村が永松を撃った理由をネタバレ込みで考察していきましょう。

また、そんな田村にとってラストの野火の存在の意味や極限状態で露呈された人間の心理も読み解きます。

野生化していく人間

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本作は「戦争」という設定ですが、本質的なテーマは「野生化していく人間」ではないでしょうか。

田村と永松を中心にパロンポンを目指す兵たちがどんどん理性を失っていくのです。

極論をいえば戦争ではなく無人島に漂流した若者達のサバイバルに置き換えても話は成り立ちます。

何故戦争かというと1つは作者の実体験、2つ目に戦争だからこそサバイバルが成立するのです。

戦争においては武器や兵士達などの戦力面以上に食糧の多寡が大きく影響します。

ましてやそれが孤立無援で戦うことになる陸の孤島であれば尚更のことでしょう。

本作は戦争という非日常のサバイバルで野生化する人間を見事に描き出しています。

田村が永松を撃った理由

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本作のラストは安田を射殺した永松を田村が射殺するという形で締めくくられます。

何故田村はここにおいて永松を撃ったのでしょうか?

それぞれに人間関係も踏まえながら考察していきます。

安田の肉を食べていた

カニバリズム論 (ちくま学芸文庫)

最初に考えられるのは永松が安田の肉を食べて口元が血塗れになっていたことです。

そう、直接的な描写はないものの、本作には「カニバリズム」の残酷さが描かれています。

これは田村からすれば裏切りに等しい行為だったのではないでしょうか。

確かに永松と安田は信頼関係など微塵もない、文字通り食うか食われるかの関係でした。

でも大きな括りでいえば同じ日本の兵隊であることに変わりはないわけです。

それを忘れて私利私欲に走った永松の姿が許せなかったと考えられます。

嘘をついていた

平気でうそをつく人たち:虚偽と邪悪の心理学

1つ目に関連して2つ目に永松が働いた不義理は嘘をついていたことでした。

田村に猿の干し肉として提供した肉は何と人肉だったのです。

歯が弱っていたお陰で田村はでカニバリズムを避けられましたが、最悪の場合彼も人肉を食う所でした。

永松が田村にさせようとしたことはそれ程に最低最悪の行為だったわけです。

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