しかし地下のスタジオで演奏しているときは生き生きとし、自信に満ち溢れていました。
いつもと違う自分になれる、ある種の無敵感というのも音楽の力なのではないでしょうか。
音楽は国境を越える
さらに、良い音楽は国境を越えるということも本作には描かれています。
フィンランドの無名バンド、インペイルド・レクタムの音楽にフェスは大盛り上がりでした。
言葉も違う別の国のメタルファンたちにも彼らの音楽は届いたのです。
後悔するなら、クソを漏らせ!
映画のラストシーンにトゥロが放つ、本作のキャッチコピーにもなっているこのセリフ。
このセリフに『ヘヴィ・トリップ』に込められたメッセージを読み解くことができます。
インペイルド・レクタムは地下のスタジオにこもり、ライブ活動や音源製作をしていませんでした。
何か行動して、失敗してしまうことのや他人の評価を極端に恐れていたのではないでしょうか。
確かに失敗や他人からの評価について考えこんでしまうと行動を起こすのに尻込みしてしまいます。
しかし何もやらずに後悔するくらいなら、クソを漏らすような失態をさらす気持ちで飛び込め。
もしくは後悔するよりは他人に恥ずかしいところを見られるほうがマシなのではないか。
そういったメッセージが本作には込められていると考えられるでしょう。
崖っぷち北欧メタルの逆転劇
街ではホモなどと馬鹿にされ、地味な毎日を過ごしていたトゥロたち。
初ライブでも大失敗。一度はバンドも解散してしまった状態はまさしく崖っぷち北欧メタルでした。
そんな彼らが自分たちの音楽を信じてフェスに出演するという大逆転劇が本作では描かれています。
勇気を持って踏み出せば世界が変えられる。そんなメッセージも込められているのでしょう。
ラストはノルウェーの警察に逮捕された彼らですが、またステージに戻ってくると信じたいです。
彼らの鳴らすヘヴィメタルのトリップはこれからも続いていくことでしょう。