そして決定打となったのは代表者戦におけるチーム力の差だったのではないでしょうか。
この時真春と寧々はそれぞれ仲間たちから背中を押して貰いますが、ここに差が出ています。
二ツ坂高校薙刀部は真春の凄さを認めて全員で背中を押し、彼女の腕を信頼しました。
一方で寧々は仲間たちと距離を置いている為に背中を押す行為1つ取っても信頼がありません。
個人競技でありながらチーム戦でもあるという団結力の差が土壇場で違いとなって出たのです。
真春と寧々、拮抗した実力者同士の戦いは最後に仲間の信頼という形でその差が出ました。
正にスポーツ漫画の王道をしっかり押さえた名シーンとなっています。
旭を大将に指名した真意
真春の勝ちで締めくくった國陵高校との練習試合ですが、代表者戦前に5試合ありました。
そこでは真春を先鋒にし、かわりに旭を大将に指名するという作戦に出ました。
果たしてここでその作戦を取った真意は何だったのでしょうか?
真春依存からの脱却
まず1つ目に挙げられるのが前述したように、真春依存からの脱却ではないでしょうか。
ここで真春を大将に持ってくるのは簡単ですが、部全体としての成長に繋がりません。
真春が居なくても勝てるチームであることを示すということが大事です。
もし真春を大将に選んでいたら、結局心のどこかで彼女を当てにすることになります。
その依存傾向が誰よりも強かったのが旭だからこそ、旭を大将に抜擢したのでしょう。
真春と薙刀部を繋げてくれた
また練習試合前に旭は孤立していた真春と薙刀部を繋げる役割を見事に果たしました。
しかもそれだけではなく防具なしの練習を提案し、負けこそしたものの根性を見せたのです。
実力も体力もまだまだなのに不撓不屈の精神力は誰にも負けないのが旭の取り柄でした。
そんな彼女の精神力はいつの間にか部全体を支える求心力にすらなっていたのです。
そのことがあるからこそえりは旭を先鋒ではなく大将に持ってきたのでしょう。
実戦に勝る修行はない
そして3つ目に実戦に勝る修行はなく、実戦経験の数こそが旭を成長させるからです。
どんなに訓練や稽古を重ねても、それらはあくまで実戦を想定しなければ意味がありません。
えりは旭のことを心のどこかで将来チームの中心となる子だと思ったのではないでしょうか。
だからこそ早い段階から実戦経験を積ませ、より高みを目指すように大将に抜擢したのでしょう。
結果としては引き分けに終わったものの、旭も寧々から1本奪うことが出来ました。
その大役を務め上げただけでも、旭にとって大きな成長の糧となるはずです。
尼寺での合宿を計画した顧問の狙い
物語中盤、名ばかり顧問の小林先生は薙刀部の全員を白滝院というお寺に連れて行きます。
そこで女性住職・寿慶の元過酷な修行に取り組むのですが、それはもうしごきの領域でした。
旭に至っては体力不足から最初井戸の水汲みに回され練習に参加させて貰えなかったのです。
合宿という名の修行を小林先生が計画した狙いは何だったのでしょうか?