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映画『レフト・ビハインド』はティム・ラヘイとジェリー・ジェンキンズのベストセラー小説を原作とした作品です。
2014年に実写映画化され、監督はヴィク・アームストロング、主演はニコラス・ケイジが演じています。
突然数100万もの人々が消失した物語がある飛行機パイロットとその娘の視点から語られるのです。
『ヨハネの黙示録』をモチーフとしている為に宗教色のやや強い難解な作風だともいわれています。
本稿では聖書の内容が現実に起きた意味をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、母アイリーンが宗教にはまった理由やハティーに謝罪した理由なども併せて見ていきます。
キリスト教否定
本作はパニック映画としては賛否両論で批評家からは「キリスト教のプロパガンダ」と揶揄されています。
確かにヨハネの黙示録をベースに物語が展開されれば誰でもがそう思うでしょう。
しかし、これ自体がそもそも作り手としては狙って仕掛けた罠ではないでしょうか。
主人公レイフォードと娘クローイを通して実はキリスト教を否定しているのです。
だから、本作をプロパガンダ映画と批判するのは本質を見抜けていないことになります。
ではそのキリスト教否定がどのような形で描かれているのかを考察していきましょう。
聖書の内容が現実に起きた意味
本作は聖書の”ヨハネの黙示録”をベースとした世界終末論を中心に展開されています。
このような天変地異が現実に起きた意味は果たして何なのでしょうか?
あらすじを整理しながら考察していきましょう。
天変地異はいつ起きるか分からない
最初に読み取れる意味は天変地異がいつ起きるか分からないということです。
聖書の世界の終末に限らず天災とは見えない形で起きるように出来ています。
どれだけ事前の予測を立てたところで、いざそれが起きた時対処出来るかは全くの別物でしょう。
パニック映画の定石として、起きた災害に対してどう対処すべきかが筋道立てて描かれます。
そして災害を防ぐのですが、人類の腕で防ぐことが出来る災害は災害とはいえません。
実際本作の地獄の黙示録は最後まで解決に至っていないのですから、定石からは外れています。
そのことを1番に伝えたかったのではないでしょうか。
嘘から出た実
2つ目は「嘘から出た実」であり、偉人が昔に残した神話が現実で起こることがあるという意味です。
神話や聖書、ましてや世界の終末を扱うような内容のものなどそれ自体は人間の勝手な想像に過ぎません。
しかし、科学の発展や文明の利器といったものは後々に実現することはあります。
引き寄せの法則というもので、その言葉を発し続けると自然と体が発した言葉を意識しそちらに向かうのです。
本作では母アイリーンをはじめ多くの人々が聖書に書かれた内容をまことしやかに信じていたのでしょう。
それが世界の終末という方向に意識が向かったからこそ引き寄せてしまったのかもしれません。
創作の世界が現実化している
そして3つ目にメタ的な意味として、創作の世界が現実化しているということではないでしょうか。