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映画『チア男子!!』は朝井リョウの原作小説を2019年に実写映画化した作品です。
監督は風間太樹、主演には今をときめく若手イケメン俳優横浜流星と中尾暢樹を据えています。
また、瀬戸利樹・小平大智・岩谷翔吾・浅香航大ら脇を固める俳優陣も主演に引けを取りません。
映画はストレートで痛快な男子チアリーディング部の成長物語として描かれています。
王道でありながら、既成概念を次々と打ち壊すような目新しい発想は様々な感動を与えてくれました。
本稿では男子チア部の勧誘を翔が突き放した理由を考察していきましょう。
またハルが晴子に本音を伝えた理由やチア部に入った彼らの共通点も併せて見ていきます。
ヒーロー達の物語
本作の面白い所は主演の横浜流星と中尾暢樹がどちらも戦隊ヒーロー経験者であるということです。
横浜流星が『烈車戦隊トッキュウジャー』、中尾暢樹が『動物戦隊ジュウオウジャー』を経験しています。
かつてのヒーローを演じた役者が今度は男子チアの先駆者という違う形のヒーローになるのです。
既存の価値観を根底から覆すようなチーム名『BREAKERS』という名前が全てを物語っています。
それまでチアリーディングというと女性がやる部活だとばかりに思われていました。
しかし、それこそが偏見・差別であり、周りの冷たい目を全部壊す物語となるのです。
正に『ウォーターボーイズ』のような時代の新境地を切り開いてくれる作品となりました。
そんな本作の魅力を本題に沿う形で是非掘り下げていきましょう。
男子チア部の勧誘を翔が突き放した理由
物語の山場の1つが男子チア部の勧誘を男子チア経験者の徳川翔が突き放す場面です。
ドラマとして狙って仕掛けられているのは分かりますが、何故勧誘を突き放したのでしょうか?
彼の台詞や心情などから考察していきます。
怪我への恐怖
最初のやり取りから分かりますが、翔の心の中にあったのは怪我への恐怖でした。
チアは甘いもんじゃない。怪我をしないうちに止めるんだ
引用:チア男子!!/配給会社:バンダイナムコアーツ、ポニーキャニオン
そう、経験者だからこそ彼はチアによって生じる怪我の恐怖を分かっていたのです。
誤解してはいけないのは決してチアそのものに否定的だったわけではないということ。
寧ろ的確なアドバイスをする位ですから、本当はチアをやりたくて仕方ありません。
そして、その怪我への恐怖を抱くきっかけが後半に明かされます。
さくらへの後ろめたさ
2つ目に怪我への恐怖を抱くきっかけとなったのが翔のいとこ・さくらへの後ろめたさでした。
高校時代、一緒にチアリーディングの練習をしていた時さくらは怪我をしてしまったのです。
その結果車椅子でのリハビリを行い、翔はそれを自分のせいだと思い込んでいました。
大事な人を怪我させ、復帰が危ぶまれる程の大怪我を見て塞ぎ込んでしまったのです。
だからBREAKERSに的確なアドバイスをしながらも、加わる勇気が出ませんでした。
大事な人を傷つけた後悔で翔は本来の自分を押し殺してしまったのです。