出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B087MT1VR9/?tag=cinema-notes-22
映画『スキャンダル』は2019年に公開されたジェイ・ローチ監督によるドラマ映画です。
主演はシャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの3人を据えています。
更にメーガン・ケリー、ジョン・リスゴー、コニー・ブリットンら個性派俳優が脇を固めており隙がありません。
2016年に起きたFOXニュースの創立者のセクシャル・ハラスメントを告発するキャスターを描いた物語です。
特殊メイクやヘアスタイルなどが高く評価され、以下の功績を残しました。
第92回アカデミー賞では、主演女優賞(シャーリーズ・セロン)、助演女優賞(マーゴット・ロビー)、メイクアップ&ヘアスタイリング賞(カズ・ヒロなど)の3部門でノミネートされ、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞している。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/スキャンダル_(2019年の映画)
本稿ではケイラが演説の途中で立ち去った理由をネタバレ込みで考察していきましょう。
またロジャーが求める忠誠心や証言を決めたメーガンの心情も併せて見ていきます。
華やかな業界の闇
芸能界やテレビ業界は表向きとても華やかながら、裏は深い闇を孕んだ業界であるのは有名な話です。
本作では2016年に実際に起こったテレビ業界のスキャンダルを基に業界の闇へ迫っていきます。
権力者であるのをいいことに女性達に性的関係、いわゆる”枕営業“を要求するロジャー・エイルズ。
女性の社会進出が叫ばれてますが、実態はまだまだ男性優位の権力社会に変わりはありません。
面白いのは決してロジャーを疎ましく思う女性ばかりではなく擁護派もそれなりにいることです。
女性絡みで問題を起こしてもニュース番組の創立者として引っ張ってきたことに間違いはありません。
しかしそれを盾にして立場の弱い者を傷つけたり虐めたりしていいわけではないでしょう。
そんな本作が受け手に伝えてくれることに迫っていきます。
演説の途中で立ち去った理由
本作のラストでは見事周到に準備を重ねてきたケイラ達の手でロジャーの告発に成功しました。
しかし、ケイラはマードックが社員達全員を前にして行った演説の途中で立ち去ってしまいます。
ここではその理由について考察していきましょう。
辞意
まずここに描かれているのはケイラがFOXニュースを辞めたということです。
ロジャー絡みの問題を通してケイラはもう仕事場に居る意味を見出せなくなりました。
男性側に奉仕しなければならず、そこまでして貰う仕事がそんなに立派でしょうか?
演説を聞いて自省していく中でそのような考えに至ったのだと思われます。
だからこそ辞意を演説の途中で立ち去る形で示したのです。
問題はシステムにある
2つ目にラストで演説をしたのがマードックという男性だったことではないでしょうか。
社内の環境改善を図るために告発したのに、後任はまたもや内部の人間だったのです。
悪貨は良貨を駆逐する、ロジャー1人を追い払ったところで悪貨は沢山残っています。
即ちセクハラ問題の本質が社員1人ではなく職場のシステムにあることに気付いたのです。
逆にいうと、組織内の問題を解決したければまず組織のシステムから解決しなければなりません。
これはもうケイラの努力でどうにか出来る問題ではないため立ち去る以外に方法がなかったのです。