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本作は『ゴーストバスターズ』で有名なアイヴァン・ライトマン監督がNLFドラフトを題材にした変化球のスポーツ映画です。
主演はケビン・コスナーが務め、脇をジェニファー・ガーナーら個性豊かな実力派で固めています。
ドラフト会議における最有力なクォーターバックを獲得せんとするオーナー達の駆け引きが見所です。
スポーツにおける「選手」側ではなく「経営」側に目を向けた作品という意味でも異色となっています。
本稿ではそんなドラフトにおけるトムの作戦をあらすじを整理しながら解説していきましょう。
また、サニーが1位の指名を変えた理由並びに彼の指名権トレードの思惑なども併せて掘り下げます。
ビジネスとしてのドラフト会議
スポーツ映画・漫画では表の選手達が注目されがちですが、それが成り立つのは「ビジネス」だからです。
プロとアマチュアの違いもここにあり、プロになると「仕事」として「責任」がついて回ります。
それは選手だけではなく裏側の監督やオーナー・コーチなど経営側においても同じでしょう。
ドラフト会議とは就活の新卒採用のようなもので、来て欲しい人材を採用側が選ぶことが出来ます。
しかし、問題は選手側の合意がなければ決して成立しないことであり、そこに大きなドラマが生まれるのです。
本作ではそれがどのような形で表現され、何を伝えてくれるのでしょうか?
ドラフトのトムの作戦
本作の物語の主軸を成しているのはサニーとトムのドラフトにおける攻防です。
同じNFLのゼネラルマネージャーでありながら、2人の人物像や経営方針はまるで違っていました。
あらゆる策を仕掛けるトムの作戦をここでは解説していきましょう。
損して得取れ
まず全体的な作戦の意図は「損して得取れ」というトレードオフ方式にありました。
終盤で明らかとなりますが、トムはわざと逸材のキャラハンをブラウンズに指名させようとします。
そうしてトレード指名権を自分側に持っていき、優秀な人材を自分に持ってくるよう仕向けるのです。
1度敢えて手放して不利な状況に追い込んでからの劣勢からの大逆転を演出しようとしたのでしょう。
ある意味ビジネスパーソンとしては冷徹なまでの策士であり、何も間違ってはいないのです。
3年分の1位指名権
トムはサニーにキャラハンと引き換えに3年分の1位指名権を譲ることを交渉します。
決して目先だけではなく3年後といった大局を見据える俯瞰の目を持っているのがトムなのです。
しかし、実は彼の作戦は既に破綻しており、これはもはや交渉ではなく脅迫でしかないでしょう。
自分側に優位に進めたいばかりに平然とサニーの弱みを牛耳って利用しようとするのですから。
サニーが周りに流されやすい優柔不断な性格や優秀な人材を欲している心理まで読んでいるのです。
奪うこと
トムの作戦の根幹には結局「奪うこと」しかなく、その奪う対象がサニーだったのでしょう。
匙加減があと少し間違っていたら完全な詐欺師であり、自分は何も与えずに利益だけを貪ろうとします。