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小野不由美の原作の『残穢(ざんえ) -住んではいけない部屋-』は、うすら寒さを感じる恐怖が特徴のホラー映画です。
解明できない怪奇現象の正体は観る者をゾッとさせ、解決策を見出せない展開に底無しの恐ろしさを感じさせました。
今回は、そんな日本的なホラー映画作品『残穢』から、ラストまで作家である主人公が無事だった意味を考察。
赤ちゃんの泣き声などの怪奇現象に目を向けながら、映画独自のラストシーンにも迫っていきます。
「残穢」とはそもそも何だったのか
タイトルにもなっている「残穢」の正体を追っていくのが本作の主なストーリーです。
ミステリー小説家の小松由美子「私」(竹内結子)の元に読者である女子大生:久保さん(橋本愛)から届いた一通の手紙。
彼女の部屋で起こる怪奇現象の正体を掴むため、「私」は件の部屋について調べ始めます。
呪いであって呪いではない
怪談には必ず何かしらの原因となる事件があります。
読者の手紙から多くのホラー小説を書いてきた「私」は、久保さんの部屋で起こる怪談の原因を突き止めようと調査を開始。
建物について調べていくにつれ、起こっている奇妙な現象は1つではないことに気づきます。
怪奇現象の原因は、その部屋で直接起こった事件ではありませんでした。
岡谷マンションの建つ土地で起こった多くの凄惨な事件によって溜まった穢れが、怪異の原因となっていたのです。
穢れの集合体
怪異の原因が土地に宿る穢れと気付いた理由には、いくつかの原因が挙げられます。
まずは、室内で起こる複数の怪異。赤ん坊の泣き声に箒ではくように繰り返し何かが擦れているような音。
さらにそれらの現象がマンション内の複数の部屋で起こっているという点から、その土地全体が呪われていると推測。
マンションが建つ以前から起こっていた猟奇事件や自殺問題などを知ることで、その土地が穢れているという結果を導き出したのです。
浄化されなかった土地に生まれた新たな穢れが重なり発生した「残穢」はさらに積み重なり、マンションの特定の部屋で発生。
住人たちを死に追いやる不明瞭な呪いのようなものになったのです。
ラストまで「私」が無事だった意味は?
「私」である小松由美子は岡谷マンションの住人ではありません。
呪いは基本的に土地についていると考えられるうえ、岡谷マンションで被害にあっている人物は特定の部屋に住んでいます。
岡谷マンションの土地について調べていた「私」ですが、住人ではなかったためにその呪いの的にはならなかったのかもしれません。
しかし、「残穢」は周囲にも伝染する呪いとして作中で定義づけられています。
岡谷マンションの住人が原因となる部屋から引っ越してもその後命を絶ってしまったように、住人以外にも影響を及ぼしていました。