出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B0874WDK9S/?tag=cinema-notes-22
映画『i -新聞記者ドキュメント-』は2019年に制作・公開されたドキュメンタリー映画作品です。
社会派映画『A』『FAKE』で有名な森達也監督の視点で再構築された東京新聞記者・望月衣塑子の物語となります。
官邸記者会見における管官房長官との様々なメディアの問題へ真正面から取り組む姿はファイターです。
森監督自身も出演した本作では籠池夫妻や忖度発言など2010年代の国家の問題へ切り込みます。
本稿では望月が注目される理由をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、彼女が圧力に屈しない理由やパリ解放写真の意味と記者クラブの目的も併せて読み解きます。
異端児・望月衣塑子
本作で大々的に描かれているのは東京本社社会部記者・望月衣塑子の異端児な姿でありましょう。
慶應義塾大学法学部出身もさることながら、日本のメディアの不義理を絶対に見逃さない鋭い視線の持ち主です。
裏切り・不義理・同調圧力を決して許さず常に批判精神をもって社会の闇や国家の陰謀へ切り込みます。
その精神力は並大抵ではなく、森監督が泣かせようとしても屈せず監督の方が折れたという逸話まである位です。
とことんまで芯がブレず一貫している彼女の新聞記者としての魅力を中心に考察していきましょう。
望月が注目される理由
望月記者は本作に限らず、現実世界でもとにかく注目される記者です。
そんな彼女に森達也は何故そこまで注目されるのかを終盤で問いました。
望月の人となりに目を向けながらその理由について考察していきましょう。
使命に真っ直ぐ
目立つ理由はシンプルに使命に真っ直ぐだからに他なりません。
望月は単に記者として取材を重ねていく中で見えてきた事実・真実を当事者に問うているだけです。
だから決して何か難しいことを考えている訳ではなく、素直に行動した結果でしかありません。
周りから見れば異端であっても、望月にとってはそれが当たり前なのです。
彼女の中には周りへの媚びだとか空気を読むとかいう日本人的な姿勢は良い意味でありません。
ただ仕事をしっかり全うすることだけが望月記者の中にあることではないでしょうか。
出る杭は打たれる
2つ目に望月のような出る杭は打たれてしまいがちだからです。
和を以て貴しとなす日本社会において、望月のような人は周囲から叩かれます。
実際に国民の殆どや国家権力にとっては望月など批判の対象でしかないでしょう。
しかし、そうした暗黙の了解で済まされている部分を彼女はどんどんはね除けていきます。
出る杭もとことんまで突き抜ければもう誰も手がつけられなくなるのです。
寧ろ周囲が異端である
森監督との対談でもお答えになっていましたが、望月にとって寧ろ周囲こそが異端だからです。