これがアメリカならばホワイトハウスに守られているので成功しないかもしれません。
しかし祖国以外の国であれば、間違いなく復讐の達成は可能だと踏んだのでしょう。
公開処刑
2つ目にただ復讐するのではなくその復讐をネットで世界中へ配信することでした。
ただ一方的に殺したのでは面白くないという歪みがバルカウィの性格をよく表わしています。
こういう他者の嫌がることを世界中に見せびらかすなど発想が余りにもお子様です。
自分がされたことの腹いせを他者への復讐で満たして溜飲を下げようとするのですから。
それが国家レベルの犯罪にグレードアップしているに過ぎません。
息子も失う
しかし、復讐で全てを奪おうとしたバルカウィは最後テロに加担した息子まで失います。
それは当然です、息子の死では足りない程国家の重要人物を次々と殺しているのですから。
G8の首脳の内5人も殺してしまい、罪なき人々の命を無残に奪った彼はもう人間ではありません。
「復讐」だけが残った彼は最期にドローン攻撃という形でその因果応報を受けたのです。
テロリズムとは相手の感情を支配することに本質があり、根源は負の感情にあります。
そうして際限のない負の感情がバルカウィの死を早めたのではないでしょうか。
国家のお偉方も1人の人間
考察を重ねていくと、国家のお偉方も1人の人間であることを重視していることに気付かされます。
アッシュ大統領もマイクも、そしてバルカウィも主要の3人は自身の子供が動機なのです。
バルカウィの復讐もアッシャー大統領の使命感もマイクの葛藤も背景に子供の存在があります。
完全無欠の強さを持ちながら、それとは別の人間的側面がドラマの主軸になっているのです。
子供への想いが彼らを強くも、そして弱くもしていくことが示されています。
しかし、これはあくまでも3人が国家レベルの舞台に立つ強者だからこそ成立するドラマです。
その主軸をしっかりブレずに貫いたことで完成度がより高まったのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作は前作を土台としてマイク・バニングのキャラが完成を迎える物語です。
圧倒的な戦闘力を持つ完璧超人型ヒーローでありながらも内面は退職を検討する程繊細なマイク。
そんな彼を決して否定せずに優しくフォローする大統領や同僚達の存在は非常に大きいです。
そして逆にバルカウィは内面が繊細すぎて娘の死に伴って道を踏み外してしまいました。
どんなに強き剛の者でも力の使い所を間違えたら闇に飲まれてお終いなのです。
愉快痛快な娯楽作に終わらないドラマ性が本作の価値をより高めています。
そんな誰の心の中にもいるバルカウィについて受け手に想像させる名作でした。