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『ONE PIECE』『テニスの王子様』と並ぶメガヒットを記録した名作ジャンプ漫画『NARUTO』。
映画『BORUTO-NARUTO THE MOVIE-』は原作終了後のスピンオフ作品で、劇場版11作目に当たります。
原作者の岸本斉史が脚本・キャラクターデザインと携わっており、それまでの興行収入最高額を更新しました。
本作のヒットで2016年からは続編『BORUTO』が連載開始となるなど、正に新しい歴史の幕開けとなった作品です。
火影となったうずまきナルトの息子・うずまきボルトを主人公に描かれる物語は懐かしさと新鮮さに満ちています。
本稿では父ナルトへの屈折を抱えるボルトがサスケを目指す真意を考察していきましょう。
また里を守った父に対する思いの変化はどのようなものだったのかも併せて読み解きます。
温故知新
本作全体の特徴を表わすキーワードは「温故知新」ではないでしょうか。
ナルトとボルトという父と子の絆を軸に旧作の良き部分を抽出し新しい世代へ継承していく構造です。
基本はあくまでもボルトやサラダ達子供世代の話としてしっかりその内面の葛藤が描かれています。
また、旧作ファンにとっても嬉しいナルトとサスケの共闘といった後日談の要素も疎かにしていません。
新規層と既存顧客の双方に満足して頂ける作りの作品として、非常によく出来ています。
ナルトとサスケという2人の背中からボルトが何を感じ取りどう成長していくのか?
その辺りに目を向けつつ本題を考察していきましょう。
ボルトがサスケを目指す真意
うずまきボルトは父ナルトに似て非常にやんちゃで破天荒な性格の子として描かれています。
彼は父に反発し父のライバルにして親友のサスケを目指して弟子入りをお願いするのです。
ここではその真意について考察していきましょう。
寂しさの反動
最初にボルトの中にあったのは父が構ってくれない寂しさの反動でした。
彼は決して父ナルトを嫌いなのではなく、寧ろ大好きで仕方ありません。
しかし、七代目火影として多忙な日々を送るナルトは誕生日でさえも家に戻ってこないのです。
これでは家庭を顧みない自分勝手な人だとボルトが思うのも無理はないでしょう。
ボルトのいたずらでやんちゃな性格や言動・行動はそうした寂しさの裏返しなのです。
強さへの憧れ
2つ目にボルトには強さへの憧れがあり、そんな彼にとってサスケは”強さ“の象徴だったのです。
襲撃しても一撃で返り討ちにする実力にどんな時も焦ることのない冷静沈着さと大人の格好良さ。
どれも父ナルトとは違ったサスケならではの異質な個性であり、ボルトが憧れるのも納得でしょう。
また、サスケはナルトの息子だからと決して贔屓や差別・偏見なく1人の子として見てくれました。
“七代目火影の息子”ではなく”うずまきボルト“という個人として見てくれた人がサスケなのです。
ボルトにとって余りにも理想という理想を体現した人物だったのではないでしょうか。
認識のズレ
しかし、ボルトとサスケの間には「強さ」に関してお互いに”ズレ“がありました。