実戦の厳しさを知らず楽していけると思ったボルトにとってここは大きな挫折でしょう。
しかし、この大きな挫折がボルトを大きく飛躍させる最初の1歩です。
父の背中に学ぶ
2つ目にそんな危機的状況でも臆することなくモモシキに立ち向かった父ナルトの凄さを知りました。
それまでずっと家庭を顧みないダメ親父という父への評価はここで大きく変わったのです。
圧倒的な九尾の力を発揮し、里の人たちの思いを背負って守り抜くナルトはダメな父親ではありません。
サスケがボルトに説いていたナルトの凄さ・本質をやっとここでボルトは知るに至ります。
それを受け入れ父と同じ服と額当てをしたことで改めて「うずまきボルト」という忍者になりました。
つまり、ボルトの忍道は今この瞬間に始まったといえるのです。
継承と和解
そしてボルトはモモシキとの戦いの中で継承と和解を同時に果たすことになります。
ナルトから膨大なチャクラ量を、そしてサスケからは消える螺旋丸という技を継承しました。
そして何より幾度もの死地を切り抜けてきた2人の最強の忍びの「心」を継承したのです。
このシーンは「ドラゴンボールZ」の悟空と悟飯による親子かめはめ波のオマージュでもあるでしょう。
そうして完成させた消える螺旋丸と共に長い間あったナルトとボルトのわだかまりが解消されたのです。
それは同時にボルトが器用貧乏な天才肌から真の天才忍者になる最初のきっかけでもありました。
大事なものは変わらない
本作が伝えたかったことはいつの時代になっても本当に大事なものは変わらないということです。
確かにナルト達親世代とボルト達子供世代では生き方も価値観も大きく変化しています。
しかし、そんな時代においてさえも本当に大切な忍道や守るべきものとった本質は何も変わりません。
要はその伝え方や方法論、器といった外側の部分が時代によって変わるだけなのです。
そうした親子世代の価値観の違いを描きながらも、真に大切な変わらない部分はしっかり伝えています。
正に温故知新、ボルトはナルトとサスケから学びつつ新しい彼なりの忍道を目指していくのでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本作は「うずまきボルト」という忍者が出来上がる過程を世代交代という形で描いています。
新しい時代の予感を感じさせつつも決して先代の教えや考えを蔑ろにしていません。
そこが何よりも本作の素敵な所で、新旧どちらも大切にしたバランスなのです。
こういう続編ものや親子世代の物語となると普通はどちらかに比重が偏ります。
その結果あっちが立てばこっちが立たずで共倒れになりかねません。
本作は原作者がしっかり監修したことでその地雷を見事に回避しました。
ジャンプ漫画の劇場版として理想の名作となったのではないでしょうか。