夫婦の形は千差万別で、だからこそそれぞれに合った解決方法があるということではないでしょうか。
本音で話し合うことの大切さ
家族とはいえ違う人間同士が生活を共にする上で大切なこと。それは本音で話し合うことではないでしょうか。
お互いうわべを取り繕って生活をしていた佐野夫婦。
本音で話したことで別々の道を歩むことになってしまいましたが、それが本当の夫婦として出した答えなのでしょう。
また、じゅんも初めはちえをあまり深く理解しようとせずに勝手に意図を探ったり機嫌をとってみたりしていました。
ちえの死んだふりの本当の意味を含め、相手のことをきちんと理解しようとする姿勢が大事であるといえるでしょう。
ワニが示すもの
作様々な小道具を使ったり、工夫を凝らして死んだふりを披露したちえ。
とりわけワニは映画のポスターなどにも描かれており、作中でも重要な意味を持っていると考えられます。
子育てを行う動物
ワニは動物の中でも社会性のある生き物として知られています。
さらに、ワニは珍しく子育てを行う動物なのです。
したがって家族をや夫婦の関係を扱っている本作にぴったりの動物といえるでしょう。
ワニの涙
西洋では、ワニは涙を流して獲物を油断させるという伝承があり、「ワニの涙」は、偽りを意味した。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/ワニ
ワニが登場するシーンで印象深いのが佐野夫婦とのホームパーティーでしょう。
それまで夫である佐野壮馬は妻のご機嫌を取りつつあしらうよう、じゅんへアドバイスをしていました。
そこにはあるのはどこか偽りのある夫婦の姿です。
しかしワニ好きの妻、由美子は夫の態度に不満を抱えており加賀美家で涙を流します。
偽りの夫婦生活に対する涙、これがワニの涙を指しているのではないでしょうか。
同じ時間を共有し夫婦になっていく
夫婦はもともと赤の他人である2人が同じ屋根の下で暮らしていくことになります。
婚姻関係は書類を提出することで結ぶことはできますが、夫婦2人の関係はそうはいきません。
同じ時間を共有し、様々な困難を乗り越えることで徐々に夫婦になっていく。
本作にはそんなメッセージが込められているのではないでしょうか。
「月がきれいですね」という言葉を初めは理解できず聞き流していたじゅん。
しかし夫婦として一緒に時間を過ごし、父親の病気の困難を2人は乗り越えていきました。
その結果、2人は「月がきれいですね」の意味を共有できたのです。