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映画『トゥモローランド』はブラッド・バード監督による2015年公開のディズニー作品です。
脚本はデイモン・リンデロフ、主演をジョージ・クルーニーとブリット・ロバートソンが務めています。
ディズニーランドのアトラクション”イッツ・ア・スモール・ワールド”が入り口となる物語です。
ピンバッジに選ばれた人間だけがトゥモローランドへ行けるという構造が仕掛けとして秀逸でしょう。
本稿ではアテナがケイシーにバッジを渡した理由をネタバレ込みで考察していきます。
また、そのアテナの正体や世界滅亡の確率が99%になった意味も読み解いていきましょう。
寓話的構造
本作を考察していく上で読み解くキーワードは”寓話的構造“です。
レトロフューチャーSFワールドをディズニーテイストで教訓じみた内容に組み立て直しています。
現実の世界を否定的に、そしてトゥモローランドを「人類の理想郷」として描いているのです。
その人類の理想郷はかつて多くのSF作家並びに人類が夢見たレトロフューチャー風味の発達した未来世界。
混沌・殺伐とした世俗から切り離した場所を1つの世界に定めつつ、その観点から戦後史を見直しています。
強烈な人類批判や「夢」をキーワードに再構築されていく物語には深いメッセージが込められているのです。
そのメッセージが何であるかを本題に沿って考察し、読み解いていきましょう。
ケイシーにバッジを渡した理由
本作の物語はケイシーがトゥモローランドへ行く為のバッジを手にするところから始まります。
そこでケイシーは謎の少女アテナからバッジの秘密を知った上で託されたのです。
その理由が何かを考察していきましょう。
夢を持ち続けていた
まず特異的だったのはケイシーが悲観的な人類の中において1人夢を持ち続けていたことです。
彼女は元々NASAの技術者を父に持ち、小さい頃からずっと宇宙に行くことを夢見ていました。
現実の邪念や常識といったものに染まることなく無邪気に未来を語れる人だったのです。
トゥモローランド行きのバッジに選ばれる最も大事な条件は「夢を持つ」人であること。
ケイシーは見事にその夢を持ち続け、その為に勉強や努力だって欠かさない人です。
それだけ眩しい人だからこそバッジの持ち主として選ばれたのではないでしょうか。
妨害工作
2つ目にその夢に向かって只管頑張る姿を物語の冒頭で既に実践していました。
それがロケット打ち上げ施設解体の妨害工作という形で現われていたのです。
彼女は父の仕事が奪われないようにするために抗議しました。
やり方に問題があって補導されたとはいえ、決して口だけではなく行動に移しています。
その姿をアテナがこっそり観察していて、その姿勢が評価されたのではないでしょうか。
少なくともこの時の行動がなかったらバッジを手にすることはなかったと推測されます。
ウォルト・ディズニーの理想の体現者
ケイシーはフランクと並んで本作においてウォルト・ディズニーの理想の体現者です。