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映画『パピヨン』は1973年に制作・公開されたアメリカの伝記犯罪映画です。
原作はアンリ・シャリエールが書いた自伝小説で、1000万部もの売上を出したベストセラーでした。
監督はフランクリン・J・シャフナー、キャストはスティーブ・マックイーンが主演を務めています。
金庫破りで逮捕され、刑務所入りを余儀なくされた男性が仲間達と脱獄を果たすやや暗い物語です。
南米ギアナにある刑務所の強制労働や偽札作りなど1930年代当時の社会背景が窺える所も勉強になります。
本稿ではパピヨンが脱獄を諦めなかった意味をネタバレ込みで考察していきましょう。
またドガが脱獄しなかった理由や2人が互いを裏切らなかった理由も併せて紐解いていきます。
ディアブル島、その悍ましき過去
本作を考察していく上で欠かせないのは舞台となっているディアブル島の悍ましき過去でしょう。
南米のフランス領として存在する孤島であり、パピヨンが収容された地獄の刑務所はここにありました。
当時は重犯罪者を収容しており1度入れられたが最後、脱出は不可能という凄まじい地獄の場所だったのです。
そして何より恐ろしいのは本作で描かれている出来事が全て実話であるということでしょう。
独房で虫を口にするなどかなり過激な描写が目立ちますが、現実はもっと酷いと思われます。
今現在では廃止され観光地となっていますが、そうした回顧録としての役割も本作は大きく果たしているのです。
この歴史的背景を踏まえ、パピヨンとドガの物語が何を伝えてくれるのでしょうか?
パピヨンが脱獄を諦めなかった意味
かつて犯罪者の仲間から裏切りに遭って無実の罪を着せられ重犯罪者にされてしまったパピヨン。
彼は何度も脱出を試みますが、その度に失敗し連れ戻され実に13年の時が経っていました。
にも関わらず、彼が最後まで脱獄を諦めなかったことには何の意味があったのでしょうか?
犯罪者にも人生がある
まず1つ目に「犯罪者にも人生がある」という意味があることが読み取れます。
本作におけるドラマの中心はパピヨンとドガの絆ですが、それだけではありません。
刑務所の仲間達と協力して脱獄することを目指すなど、ドラマがあるのです。
また、全ての犯罪者が本当の意味で悪人だったとは思えないような描写もあります。
特にパピヨンなどは無実の罪を一方的に着せられた、現在では「冤罪」に当たるものです。
ついつい一括りにしてしまっている犯罪者・囚人だって色んな運や環境が影響してそこにいます。
そういう人たちの人生をこれ以上ないほど劇的に描いているのです。
自由を勝ち取る大変さ
1930年代という戦時中の厳しい時代背景と合わせて考えると、自由を勝ち取る大変さが描かれています。
1度刑務所という地獄へ送られ人権を奪われてしまった者が自由を得ることは大変なのです。
一般房ならまだ可愛い方で、独房に入れられたら殆どの人は生き残れず最後に死んでしまいます。
特にマチュレットが老衰した後にサメにその死体を食われるという残酷な結末は見るも無残です。
そうしたことからもパピヨンが諦めずに最後の最後で脱獄を果たしたのは大きかったでしょう。