2つ目にマッキーはデイビーたちがよく鬼ごっこする心理まで知り尽くしていました。

その為趣向を凝らし敢えて彼らの得意分野である鬼ごっこに持ち込んだのです。

しかし、見たこともない森の中ではデイビーもウッディもまともに動けません。

そういう地形の利すらも余すところなく用いて2人を殺そうとしたのです。

この辺りからマッキーは物凄く自尊心の強いタイプであることが窺えます。

敵に回したら恐らく最も恐ろしいタイプではないでしょうか。

友情を崩壊させる

そして最大の狙いはデイビー達の友情を崩壊させることではないでしょうか。

デイビー達は仲の良い友人とはいえ、結束力の強い関係ではありません。

趣味感覚などが合うから一緒に遊ぶ程度の軽いお友達レベルです。

ニッキーとの関係にしても淡い恋心でしかなく、深い愛などではありません。

そういう上辺の友情だからこそ1度崩れてしまえば簡単に崩壊してしまいます。

狙いは功を奏してデイビーから友情を奪い孤立化させることに成功しました。

一寸先は闇

一寸先は闇

ひと夏の冒険の先に待ち受けていたのは知ってはならない悍ましい現実でした。

ここから示されているのは「一寸先は闇」ということではないでしょうか。

冒険を夢見て飛び出した先に夢が開けているというのはもう遠い昔のことです。

80年代のやや楽天的な時代の空気があったからこそ思春期の冒険がロマンたり得ました。

しかし本作は決してそこで80年代に寄せるのではなく2010年代の暗い空気へ引き戻します。

それは現代社会がどれだけ深い闇を孕んだ危険なものであるかを教えてくれるものでした。

もう夢見る時代は終わったのだと本作の結末ははっきり告げてくれたのです。

他者を当てに出来ない時代へ

当てにならぬがばかにできない時代―タイの社会と文化 (ネットワークの社会科学)

いかがでしたでしょうか?

本作は80年代ジュブナイル映画の体裁を取りながら、ラストで全部そのお約束が破壊されます。

ラストでマッキーにより孤独に追い込まれたデイビーですが、ここにもう1つメッセージがあるのです。

それは他者を当てに出来ない、本当の意味で自分1人の力で生きていく時代が来るということでしょう。

自業自得な面があるとはいえ、警察も家族も含め大人達が子供達を守ってやれないのです。

そして上辺だけの友情も簡単に崩壊してしまう程人同士の繋がりが脆くなっています。

だからデイビーは他者を当てに出来ず、自分1人で生きる力を手にしなければなりません。

恐怖が身近にある時代にどう生きていけば良いのかを受け手に考えさせるホラー映画の傑作でした。

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