ましてやクロフト社という資産家であればお金はたんまりあるのですから儲け放題です。
表向きの綺麗さとは裏腹にとんでもない卑劣さが垣間見えるラストになっています。
クロフト社の乗っ取り
2つ目にトリニティと手を組んでクロフト社を乗っ取るのが目的ではないでしょうか。
冷静に考えてトリニティのような危険な武装組織に商品を横流しするのはリスクの方が大きいでしょう。
しかし、もしアナがクロフト社を乗っ取る意思があるのならばこの横流しの説明もつきます。
即ちアナは強化されたトリニティ側についてクロフト社にテロを仕掛け会社を制圧するつもりです。
そうなればトリニティは莫大な資産を手にして一気に世界征服が容易になるという算段でしょう。
ただ、それが表に知られてはいけないから機が熟すまでは努めて温和に振る舞っているのです。
遺産の横取り
そして3つ目にララが相続した遺産を横取りするつもりだったのではないでしょうか。
前半でララに遺産相続を促したのもあくまで優位に運ぶためのポジショントークです。
敢えて屋敷や会社が売り払われることをネタに脅し、継ぐつもりがないララに継ぐよう仕向けました。
その上でララが経営に口を挟まないのをいいことに好き勝手するつもりだったのでしょう。
そしてクロフト社を乗っ取った段階で遺産ごと横取りする算段だったと推測されます。
幸いララがアナの関与に気付いたことでこの目的は阻止されるでしょうが、実に恐ろしい人物です。
資産運用を他者に任せてはいけない
本作でララの成長物語を通して1つ隠れた教訓として「資産運用を他者に任せてはいけない」があります。
ララは父の遺産を相続するまで世俗に紛れてごく普通の若者として暮らしていました。
それが彼女に普通の暮らしを覚えさせる元になった反面資産運用の不勉強にも繋がっています。
資金を得るためとはいえ母の形見を質屋に売ったり、ルーに持参金まであげたりしているのです。
しかもラストになるまでアナのやらかしている不義理に気付かないという始末でした。
ララがもっと資産運用をしっかり勉強していればこの被害を防ぐことは出来たのではないでしょうか。
新生ララの最初のミッションは何よりも収支のやり繰りにあったとも取れます。
仮想敵の変化
本作をジョリー版の『トゥームレイダー』と比べると仮想敵がかなり変化していることに気付きます。
元祖『トゥームレイダー』の仮想敵はいわゆる冒険ものや謎解き、あるいはスパイミッション作品などでした。
即ち「冒険すること」そのものに主眼を置き、純粋に敵との対決や謎解きで楽しませることが出来たのです。
しかしそれが当たり前のものとして定着し原作ゲームが出ている本作は仮想敵を寧ろ現実的な方向へ変えています。
敵組織に横流しをしている子会社や優秀な2番手の経営者など身近な存在こそが真の敵なのです。
これは時代の変化に伴う本作が打ち出したリアリズムではないでしょうか。
謎解き要素などがあっさりであるという批判的な評価が少なからずあったのもその変化が見えにくいからです。