それが恋愛を複雑にしているのかもしれません。
流されることはピースオブケイク
劇中にはたやすいことが、もう一つ描かれています。
それは流されることです。
私は思慮が浅いんだから、目先の気持ちよさに負けるんだから
引用:ピースオブケイク/配給会社:ショウゲート
志乃はその場の流れで男性と関係を持ってしまう一面があります。
劇中には等身大の女性が描かれていたのではないでしょうか。
人は誰しも弱い部分を持っています。
寂しい時、気持ちが揺れている時、手を伸ばす誰かにすがってしまうものなのかもしれません。
志乃は後に、男に頼っていたと振り返っていますが雰囲気に流されることはたやすいことなのでしょう。
京志郎があかりと浮気をしていたのも、流されていたといえます。
めばち娘劇団に歌われるピースオブケイク
劇中に登場するめばち娘劇団は「たやすいこと」を歌い上げていました。
彼らの歌は一体なにをたやすいといっていたのでしょう。
信じましょう
信じましょ、信じましょ、思い込めれば全てはハッピー
ツギハギツギハギ笑い飛ばせよ、コツさえつかめばとっても簡単
楽しい毎日、たやすいことよね
引用:ピースオブケイク/配給会社:ショウゲート
彼らの歌は志乃と京志郎のことを歌っているかのようです。
お互いの欠点をツギハギしながら、過去を笑い飛ばせるようになったら幸せになれるのでしょう。
コツさえつかめば恋愛は簡単なことなのかもしれません。
めばち娘が実際に舞台になった
余談ですが劇中劇を繰り広げた「めばち娘劇団」は、映画を飛び出し山本裕典主演で舞台化されています。
本作の影響力を感じることが出来るのではないでしょうか。
立ち直るのはたやすいこと?
ピースオブケイクの隠れた意味は、暗示の言葉ではないでしょうか。
別れて忘れて立ち直ることは意外とたやすいことだと志乃は歌っています。
好きという気持ちを消すように、京志郎を頭の中から追い出し日々を過ごせばいいからです。
しかし、その考えは松坂桃李演じる天ちゃんに否定されています。
恋愛でカッコつけてどうすんのよ
引用:ピースオブケイク/配給会社:ショウゲート
もし、京志郎と再会していなかったら「たやすい」と暗示をかけながら必死に立ち直っていったのかもしれません。
どこにでもある恋愛だから面白い
本作は理想の恋愛を描いている訳ではなく、主役の志乃も京志郎も完璧な人間ではありません。
登場する人物は皆リアルな日常を生き、どこにでもあるような恋愛模様を繰り広げています。
しかしだからこそ、ラストシーンの本心のぶつかり合いがスカッとするのかもしれません。
好きなのかどうか…恋愛は複雑なようで実はテイクオブケイクなのかもしれません。