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今や活気のないクラブとなり閉鎖間近な所で、なぜ多満子は自ら選手としてやっていく決意をしたのでしょう。
勧められるがままにクラブを訪れた多満子
自己を失い自暴自棄になって田舎に帰った多満子の前に現れたのは、多満子と多満子の母親の過去を知る吉岡弥生でした。
弥生に勧められ何となくクラブに顔を出した多満子ですが、ラケットを持った時、自然に体が動いたのです。
母の厳しいコーチングで自分の体に染みついた卓球の技術が再び開花した時、この球技で自分は輝けると思えました。
閉鎖寸前のクラブの再建を引き受けることになった多満子。図らずも父親の想いを引き継ぐことになりました。
挫折する原因になった江島への対抗心があった
当初、多満子が再び卓球を始めた動機の中には、会社で痛い思いをさせられた江島への腹いせがあったと思われます。
クラブ活性化のために全国大会に出ようと提案したのも、内心には江島に対する対抗心があったのでしょう。
多満子はまだ江島との過去を引きずっていたのです。
皮肉にも最初に出場した時に惨敗したことで雑念が消え、純粋に卓球に打ち込むことになりチームの士気も上がってきました。
幼少期の母親のスパルタ訓練が残したもの
多満子の卓球の技術面は幼少期に鍛えられて身についていましたが、精神面についてはまだ習熟していませんでした。
2度目の大会出場で、ようやく母が口を酸っぱくして言っていた、一歩前に出て攻めることの意味に気が付きます。
勇気をもって一歩前に出ることは、人生に挫折した時の前向きな生き方を暗示していたのです。
本当に苦しい時にこそ前に出る勇気が大切であることを母は伝えたかったのでしょう。
ミックスのもうひとつの意味
この映画のタイトル「ミックス」の意味を考えてみました。
卓球のミックスダブルスを表しているのですが、その他にも「ミックス」の意味があるようです。
人それぞれに人生模様があります。息子を亡くして生きる目的を失いかけていた落合夫婦。
医者と結婚して窮屈な生活を送るうちに自分らしさを表に出せなくなった弥生。やる気を失い人生に失望していた優馬。
そして挫折して途方に暮れていた萩原と多満子。
フラワー卓球クラブは、いろいろな人生の悩みがミックスされています。
どんな悩みでも、苦しい時に一歩前に出て前向きに生きる努力で克服できるのです。
自分たちの意識を切り替えるきっかけが、卓球のミックスダブルスでパートナーとともに努力することだったのでしょう。
まとめ
卓球というスポーツを通じて、過去のつらい経験を絶ち前向きに生きていく自分らしさを手に入れる姿を描いた映画ミックス。
卓球クラブは閉鎖の危機を乗りこえ以前の活気を取り戻し、チームのみんなも前向きに生きる活力が出てきたようです。
生きていく上で、喜びや悲しみ、挫折や希望もすべてミックスされて人ひとりの人生。
多満子の幼少期からのトラウマも、実はどんな時でも前を向いて一歩踏み出す勇気を持つという母の教えでした。
