真愛は浩介が好きなポニーテールにすることで、浩介に喜んでもらいたいと思ったのでしょう。
浩介を励ます為
どうして髪を結んだのかその訳は知らない、でも嫌が上でも励まされた
引用:あの頃、君を追いかけた/配給会社:キノフィルムズ
浩介が解説するように、頑張っても負けてしまい凹む浩介に対して励ます意味もあったのでしょう。
君は頑張ったよ、という気持ちの現れとも考察できます。
勝負には勝ったけれど、浩介の頑張りや彼の態度に恋に落ちたという心境です。
等身大の初恋が魅力的
ギデンズ・コー自身の話を映画化にした本作は、初恋が何たるかを描いた作品です。
がむしゃらな恋
高校時代は自分の気持ちをぶつけるので精一杯な時期です。
女は先に大人になり、男はそれに気づくことがない
引用:あの頃、君を追いかけた/配給会社:キノフィルムズ
劇中で語られる通り、男と女は心の成長のスピードが違うものです。
真愛は自分が愛される理由を知りたがっていましたが、そこにはこの先の不安が隠れていたのです。
しかし、浩介は今の自分の気持ちを押し付けていきます。
ちょっと大人な真愛と子供のままの浩介なのです。
リンゴが示唆する二人
劇中にはリンゴが所々に登場しています。
教室で丸かじりする浩介に対して、持ちかえって剥いて食べる真愛の姿は印象的なシーンです。
このシーンは幼稚な浩介と大人の真愛を表現していたのでしょう。
結婚式前にリンゴをかじる浩介は、昔のままの浩介を示唆していました。
今でも真愛が好きだ、という気持ちが隠されているのではないでしょうか。
ハッピーエンドではないからこそ初恋
この人生では無理だった
引用:あの頃、君を追いかけた/配給会社:キノフィルムズ
上記のセリフには、今なお真愛を想う気持ちが込められています。
パラレルワールドでは結ばれている、そんな希望を込めた言葉なのでしょう。
初恋は、誰しもが経験する未熟な恋といえます。
だからこそ、大切でいつまでも忘れられない宝となるのではないでしょうか。
実らない初恋は観る者の共感をえて、懐かしい青春時代へと引き込んでいくのです。
新郎へのキスで「想い」を過去のものにした
浩介がした激しいキスは、真愛に向けたものだったのでしょう。
自分の気持ちを素直に表現し、真愛への恋を想い出としたのではないでしょうか。
浩介の初恋は切ない形で幕を閉じますが、それもまた青春そのものといえそうです。
甘く切ない記憶が共感を生んだ作品
本作は台湾の作品を長谷川康夫監督が日本版にリメイクしたものです。
パレレルワールドという斬新な世界観を織り交ぜ、青春時代の恋を切なく描いています。
幼稚だからこそ楽しかった「あの頃」の恋は、観る者に純粋な心を与えてくれるようです。
台湾版『あの頃、君を追いかけた』も併せて観たい映画となりました。