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映画『マリアンヌ』は2016年に公開されたロバート・ゼメキス監督によるラブストーリー作品です。
ゼメキス監督を中心に主演にブラッド・ピットとマリオン・コティヤールを据えています。
脇もジャレッド・ハリス、サイモン・マクバーニー、リジー・キャプランという豪華キャストです。
第2次世界大戦を舞台に二重スパイの容疑をかけられたマリアンヌとマックスが恋に落ちる様を描いています。
戦争という状況が作り出した男女の恋愛はどのような方向に転がっていくのでしょうか?
本稿ではマックスとマリアンヌの2人が屋上で寝る意味をネタバレ込みで考察していきます。
また、マリアンヌが自殺を選んだ理由と「マックスが射殺した」と報告させたフランクの想いも読み解きましょう。
ゼメキス版『カサブランカ』
本作全体の構造はゼメキス監督による『カサブランカ』の復興と再生を目指したものではないでしょうか。
ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールの組み合わせとドラマ性を重視した演出・脚本がそれを感じさせます。
昭和スターに勝るとも劣らない迫力とスター性を現代の映画界で兼ね備えた最高級の2人でしょう。
真正面の切り返しショットやアップでのキスに濡れ場…本作にはそうした古典的正統派映画の手法が詰め込まれています。
戦場では敵同士であるにも関わらず、ある一点において『ALLIED(同盟)』な2人という燃え上がる設定と物語。
正に往年の名作を現代の技術と解釈で洗練させ再構築した一作にはどんな思いが込められているのでしょうか?
マックスとマリアンヌの関係性に注目しながら本題を読み解いていきます。
屋上で寝る意味
本作の前半では屋上でマックスとマリアンヌが寝るシーンが描かれています。
2人の関係性を的確に描いたショットですが、果たして何の意味があるのでしょうか?
物語の流れを踏まえて考察していきます。
偽装夫婦
まず大前提として、マックスとマリアンヌはあくまでも偽装夫婦です。
2人はスパイとしてドイツ人大使の暗殺という重大な任務を抱えていました。
何故夫婦なのかというと、2人がスパイ同士であることが周りにバレてはいけないからです。
そう、2人は決して仲が良いとか知り合いとか仕事の同僚とかではありません。
ただ暗殺任務がきっかけで偶然接触する機会を貰っただけの赤の他人でした。
ではなんでそんな赤の他人同士が夫婦となって屋上で寝るのでしょうか?
カサブランカの風習
カサブランカでは夫婦の営みが終わった後屋上に上がるという決まりがありました。
郷に入っては郷に従うという奴で、2人は夫婦として出来ることをしたのでしょう。
要するに明るみに出ない為の芝居であり、しかしその中でも2人の関係性は変化していきます。
特に象徴的なのがマックスのドイツ訛のフランス語をマリアンヌがいじる所です。
単なる職務上のやり取りとは別のプライベートな会話がここでなされています。