出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B01B7AP2OU/?tag=cinema-notes-22
『リトルプリンス 星の王子さまと私』は2015年公開のアニメーション映画です。
サン=テグジュペリの「星の王子様」を原作としつつも、現代の視点でショッキングともいえるその後のストーリーを描いています。
フランス映画らしくシュールな笑いと芸術性あふれる映像が話題となりましたが、作品には奥深いメッセージが隠されています。
「目に見えないものが大切」という本筋は変えずに、本作は現代の問題を描いた大人向けのアニメなのです。
映画を紐解くうえで重要となる、本をプレゼントしに行く理由や王子が記憶を失っていた理由を深く考察していきましょう。
ひとつひとつのセリフが深く重みのあるものではないでしょうか。
おじいさんに本をプレゼントした理由
ラストシーンで女の子はおじいさんに自作の本を手渡していましたが、なぜ本を渡したのでしょう。
王子様との約束を守る為
女の子は星の王子さまと別れる際に、下記の約束をしていました。
覚えているって飛行士さんに伝えて、忘れないで
忘れない全部覚えている
引用:リトルプリンス 星の王子さまと私/配給会社:パラマウント映画
しかし女の子が星の王子さまからの伝言をおじいさんに伝えている様子はありません。
女の子は代わりに本を渡したのでしょう。
下らない夢物語だと酷いことをいった女の子ですが、物語を本にすることで自分も星の王子さまに出会えたということを伝えたのです。
女の子にも、目に見えないものが大切であると理解できたのでしょう。
だからこそおじいさんは、素晴らしい大人になるだろうと思ったのです。
大切なものを失わないようにする為
本に描かれた世界はおじいさんと女の子の友情の証でもあります。
二人の思い出を本に綴じプレゼントしたことで、友情という大切な想いをプレゼントしたことになります。
星の王子さまの本は、二人が同じ想いを共有したことを暗示しているのではないでしょうか。
いつも側にいることを伝えるため
女の子は、おじいさんとはいつか別れる時が来るということをバラの花から学んでいます。
心でみる時だけほんとうのことがわかる
いつも側にいるってそういうことなのね
引用:リトルプリンス 星の王子さまと私/配給会社:パラマウント映画
おじいさんの大切な思い出を忘れない、そんな思いが込められていたのかもしれません。
二人の思い出を本にすることで、おじいさんのことを心に思い描くことが出来ます。
そうすることでずっと側にいることが出来るのです。
おじいさんを元気づけたかった
病気のおじいさんを元気づける為に本を送ったとも考察出来ます。
大人達から煙たがられるおじいさんは、子供の心を失っていない人物です。
劇中に子供を嫌う星が登場していましたが、まさにおじいさんを取り巻く大人たちの姿といえるでしょう。