そんな中やっと出来た友達が女の子であり、女の子もまたおじいさんにとって自分が唯一の友達であることを知っています。
女の子は大切な友人を傷つけたままだったので、本を渡すことで仲直りをし元気づけたかったのではないでしょうか。
王子が記憶を失っていた理由
女の子が見つけ出した星の王子さまはなぜ記憶を失っていたのでしょう。
そこには大きなメタファーが存在しているようです。
普通の大人になったから
星の王子さまは女の子がいうように普通の大人に成長してしまったのでしょう。
「大人になる為の学校」は、現実社会を風刺しているようにも感じます。
効率や生産性を突き詰め、創造力や夢を壊してしまう場所です。
彼は周囲の大人たちによって、無理矢理に子供時代の記憶を消されたと考察出来ます。
劇中で描かれたような大人になるには、子供の心を消す必要があるからです。
やるべきことに追われていたから
働かなきゃ、大切な一員として
引用:リトルプリンス 星の王子さまと私/配給会社:パラマウント映画
星の王子さまは仕事に追われる日々を過ごしており、やるべきことに追われています。
やりたいことを忘れてしまうのも無理のない話です。
子供の時は、やりたいことや疑問で心が満たされていますが、大人になるとやるべきことで満たされてしまうのでしょう。
彼はやるべきことに支配され、本当の心(子供の心)を失ってしまったとも取れます。
大人は記憶(夢)を失うという悲劇
原作となった星の王子さまに、風刺をプラスした本作は大人用に作られたアニメといえるのではないでしょうか。
大人の描かれ方が斬新で、ドキッとしてしまうシーンも多々ありました。
星の王子さまが記憶を失うというのも痛烈な風刺のように感じます。
母親に描かれた計画性
女の子の母親は数年先までの計画を密に立てていました。
観る者は「尋常じゃない親」という印象を持ちますが、子供の目線で見ると大人はそういうものなのかもしれません。
子供の時間と大人の時間は違うといわれますが、大人は常に何かに向かって生きているのです。
本作に描かれた子供たちは、今を生きています。
現代の生き方を問われるような内容ではないでしょうか。
不必要なものを忘れる大人
大切でないものは、全て大切なものに作り変える
引用:リトルプリンス 星の王子さまと私/配給会社:パラマウント映画
大人たちは、自分に不必要なものを生産性のある必要なものに作り変えています。
世の中に不必要なものなど存在するのでしょうか…。
劇中の「大人になる学校」では、子供の時に持っていた大切な記憶も必要なものに作り変えてしまうのでしょう。
目に見えないものが理解出来なくなる
雨の車内でのラジオはとても印象的で、目に見える数字が羅列されていました。
予期せぬ大雨で32人が仕事に遅刻、街の生産性が0.4パーセントダウンしました…
引用:リトルプリンス 星の王子さまと私/配給会社:パラマウント映画
原作でも主軸となっている目に見えないものは、大人の世界には存在していないのです。