特に終盤で警察が事情も聞かず問答無用で逮捕したシーンがそれを示しています。
単に子供たちを助けに来ただけなのに見た目だけで危険人物扱いされ手錠をかけられたのです。
そう、オビーもミリーも「世間から差別・迫害されてきた者」ということになりました。
他ならぬ国家権力が罪なき人達に牙を向けた瞬間として描かれていたのです。
だからこそ2人とも人種の壁を超えて弱者に優しく出来るのだと推測されます。
ウィリアムの命を奪った人
本作で1番凶暴な人物として描かれていたのがウィリアムという人物でした。
彼にはニコールという恋人がいましたが、最終的には殺されてしまいます。
果たしてそれが誰によるものか、その正体をあらすじを追って見ていきましょう。
ジェシー
結論からいえば、ウィリアムを殺した人物はニコールと並んで身近なジェシーでした。
決して彼女に明確な殺意があったわけではなく、咄嗟の条件反射だったのです。
ここで恐ろしいのは近しい筈の人がウィリアムに牙を向けたということ
悪意があったわけではなく正当防衛で行ったと思っていることが実に悪質でしょう。
尚且つ即座に正気に戻ってすぐさま病院に連絡する辺りが余計その怖さを際立たせています。
そう、伏兵は意外と身近なところに存在していたのです。
ニコールに暴力を向けた
ジェシーがこんな極端な行動を取った理由はウィリアムがニコールに暴力を振るったことでした。
ウィリアムはアジア系人種が嫌いで、偶々通りかかったアジア系男性の車を襲っていたのです。
咄嗟の衝動でどうしていいのか分からないために収拾がつかず、そのようになってしまったのでしょう。
このまま放っておいたらアジア系男性のみならず自分たちも殺されるかも知れないと思ったのです。
ジェシーは決してニコールの為ではなく自己防衛の為にニコールに暴力を向けたことになります。
極限状態で崩れる絆
このシーンで示されているのは極限状態で簡単に崩れてしまう人同士の絆です。
ウィリアム、ニコール、ジェシーの3名は友達ではないものの利害で繋がった仲間ではありました。
悪党には悪党なりの絆が存在しつつ、しかしこの3人は物欲でしか繋がっていない絆でした。
だからこそ暴動という極限状態の中で3人の関係は脆くも崩れ去ってしまったのではないでしょうか。
ウィリアムという人物の結末としては因果応報でありつつ、同時に刹那的で哀切もまたあります。
ジェシー涙の意味
ジェシーとニコールの必死の健闘も虚しくウィリアムは衰弱して死んでしまいました。
最後には涙さえ見せていたところに、オビーとミリーが寄り添うことになります。
このラストシーンの涙の意味は果たして何なのでしょうか?
愛で救われない命
まず1つ目に愛では救われない命があるということではないでしょうか。
ウィリアムは問題児であったとはいえ、ミリーが引き取った擬似家族の1人でした。