札束をトランクケースごと「拝借」するJBには呆れますが、それに気づかないほどお金に無頓着なバリーにも驚きです。
「拝借」がどんどんエスカレートし、遂に捕まったJBをバリーは何とか逃がそうとしました。
バリーはJBを可愛がっていたわけではありません。妻の弟だから仕方なく我慢していたのです。
どこかに消えてくれればいいのにと思っていたことは間違いないでしょう。そして事件は起こります。
爆薬は誰が仕掛けたのか
爆薬を仕掛けたのは麻薬カルテルのパブロ・エスコバルの指示によるものと推察できます。
彼らはJBが何かをしゃべるかもしれないという怖れより、それによってバリーに害が及ぶことを避けたいのです。
バリーは彼らにとって大切な運び屋ですから、まだまだ利用価値があるのでしょう。
爆破までは予想していませんでしたが、バリーはJBが殺されるかもしれないと察知していました。
彼がJBを逃がそうとしたのは警察からではなくパブロからでしょう。
パブロたちはJBが愛車に執着を持っていることを調べ上げていました。
ちなみにこの車はAMCグレムリンです。
JBの爆死からバリーは何を感じたか
JBの爆死を間近で見たバリーは「裏切ったら殺される」と実感したはずです。
そして次に恐れたのが妻の悲鳴でしょう。ルーシーに弟の惨い死を知らせるわけにはいきません。
車を隠したのはそのためですが、格納庫の自室に帰った時の憔悴ぶりは流石トム・クルーズと思わせる演技でした。
あの時彼は初めて自分がやってきたことに恐怖を覚えたのです。遅きに失するとはまさにこのことですね。
ラストシーンから何がわかるのか
バリー・シールが銃撃された後のシーンは、興味深かったですね。
モンティは次の利用できる手を思いつき、バリーのことなど壊れて忘れたおもちゃ扱いでした。
バリーの車に積まれた証言ビデオは国家安全保障会議NSCによって押収されました。
このNSCはCIAの上部機関です。
ルーシーは元のファーストフード店の店員に逆戻りですが、豪華なアクセサリーを身につけていましたね。
結局バリーが命を賭けて残したものはこのダイヤのブレスレットだけかもしれません。
バリーを消したのは誰でしょう。
麻薬カルテルのような報道がありましたが、ホワイトハウスあたりの陰謀かもと思わせる終わり方でした。
最後のバリーのセリフです。
「きっとこう言いたいんだろう?この国は世界最高の国だが…」
引用:バリー・シール/アメリカをはめた男/配給会社:ユニバーサル・ピクチャーズ
最後まで言い切れず、画面から消えていくバリー・シール。
まさに消されたのです。
この映画の評価とキャスト
本作は批評家から高く評価されている。
映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには212件のレビューがある。
批評家支持率は87%、平均点は10点満点で6.9点となっている。
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/バリー・シール/アメリカをはめた男
主演のトム・クルーズの演技力はもちろん、冷静で冷淡なモンティを演じたドーナル・グリーソンも素敵でした。
ルーシーやJBの生い立ちまで感じ取らせる演技力も印象深かったですね。
実力派キャストが集結し、飄々と軽やかに犯罪実話を描いた本作は観ておくべき映画ではないでしょうか。