1つは姉によって付けられた傷と流産による体を癒すためです。
しかし、彼女の心は妊娠が露呈したことと観音崎による暴行でボロボロになっていました。
そういった精神面を考えると、彼女の入院は外的要因と内的要因の両方からのものとも考えられます。
友人であるハルナたちが気軽に尋ねたことから精神病棟ではなさそうです。
ルミには、心と体を癒すための入院時間が必要だったのでしょう。
3人で死体の穴を掘ったのはなぜ?
山田とこずえの宝物は、1年以上前から河原に放置されていました。
最初は肉塊だった死体は、時間をかけて白骨化。
警察への通報をしなかったとはいえ、彼らには死体に対するなんの責任もありません。
見つかればそれで良しとされる死体を、なぜわざわざ穴を掘って隠したのでしょうか。
特別な宝物
3人が人目につかないように白骨を埋めたのは、それが山田とこずえにとっての宝物だったからです。
特別な時間を共有してきた2人は、白骨にも特別な何かを感じていました。
「死体」を自分たちよりも劣っている存在として見ていた山田は、自分の中の濁ったものを死体を目にすることで浄化。
こずえも同様に、死体を眺めることで心の平穏を保つ1つのアイテムとして扱っていたのです。
だからこそ死体は彼らにとって特別で大切なものでした。
親しくもない学友に発見されおもちゃのように扱われる前に、深い深い穴の中に宝物をしまい込んだのです。
ハルナにとっても特別な存在
ハルナは山田やこずえほど日常生活に不満があったようには感じられません。
観音崎をきっかけに始まった山田との付き合いも、死体という存在が無ければそこまで特別なものはならなかったのでしょう。
しかし、この「死体」という存在が結び付けた3人は、特別な秘密を共有する存在となりました。
警察に告げない共犯者というポジションは、思春期の少年少女の心に特別な感情を与えたのではないでしょうか。
死体を管理するということは、モラルに反した行為です。
大人になりきっていない彼女たちだからこそ、こういった行為に背徳感や優越感を抱いたのでしょう。
現実離れした特別な行為だからこそ、3人は死体に心惹かれたのです。
3人の結びつきを誰にも汚されたくないと感じたからこそ、ハルナも2人と共に死体の穴を掘ったのだと考えられます。
生きる苦しさと向き合う青春ドラマ
傷つきながら、忘れながら、思い出しながら
たまに、泣いたり怒ったり笑ったりしながら、感じて生きていきたい。
引用:リバーズ・エッジ/配給会社:キノフィルムズ/木下グループ
「リバーズ・エッジ」の作中で入り込んでくるインタビューシーンは、映画のオリジナルになっています。
ラストに回ってきたハルナのインタビューは、ストーリー全てを通してこれからの人生を歩む若者の前向きさを感じさせてくれました。
岡崎京子原作のコミックスは、1994年に刊行されてから繰り返し復刻出版されている魅力溢れる作品です。
独特の世界観が魅力のストーリーは、映画になったことで原作では見れなかったキャラクターの一面もピックアップ。
静かに心に語り掛ける漫画とは1味違った青春の1ページを見せてくれました。