この問題児っぷりは良くも悪くも父親に似てまい、血は争えません。
反抗期
2つ目に、セブも気難しい年頃・反抗期だったからではないでしょうか。
セブは最も心が不安定で心が揺れやすい時期にあることが分かります。
特に学校で友達と喧嘩を起こして停学など反抗期特有の衝動性でしょう。
それでいて、決して家族を蔑ろにしているのではなく寧ろ家族が大好きです。
大好きだからこそ、それが反抗期の屈折した形で表現されていることが窺えます。
構って貰えない寂しさ
そして何より、共働きの両親に構って貰えない寂しさから来るのです。
ペンキを塗ったり喧嘩起こしたりするのは承認欲求の表れでしょう。
上記したライザのキー窃盗も突き詰めると根っこにあるのは承認欲求です。
セブの悪行は単なる問題行動ではなくリッキー以外の3人の本音を代弁していました。
問題行動を起こすことでリッキーにその事実に気付いて欲しかったのでしょう。
リッキーが上手く行かなかった原因
そしてもう1つ気になるのは何故リッキーが個人事業主として失敗した原因です。
彼の働き方を見ると実は失敗するべくして失敗していますので、分析していきましょう。
情報不足
まず個人事業主として始めるに当たって、リッキーは余りにも情報不足でした。
独立して事業を立ち上げる場合、まずは下請けではなく元請けにならないと意味がありません。
また、節税対策や事業の利益構造など、契約書に書いてある内容をじっくり吟味することです。
それまで雇用される側だった人間がいきなり経営する側になることは無理があります。
リッキーはこうした辺りの勉強をきちんと行わないまま始めてしまいました。
つまるところ、労働環境としてはブラック企業よりも更に劣悪な労働になってしまうのです。
メンター(師匠)選びを間違えた
そして2つ目に、リッキーは明らかについていく人を間違えました。
ビジネスにおいて大事なのは兎に角メンター(師匠)選びであり、本作におけるリッキー最大のミスです。
マロニーは仕事のスタンスや態度などからお金さえ貰えればそれでいいという人でしょう。
典型的な詐欺師であり、如何に知識・知恵のない労働者からお金を奪うかしか考えていません。
人間性ではなくお金ありきのメンターを選んでしまうと、長期で見て不幸になるのです。
ビジネスで1番大事なのは人間性であり、人材力こそが全ての源であると示しています。
これからを生きる人たちへ
本作は逆説的な手法でこれからを生きる人たちへのメッセージを提示しているといえます。
それはビジネスやお金の構造についてしっかり勉強し知識・知恵を身につけることです。
今組織へ働く時代から個人が独立して動く時代へとシフトしつつあります。
しかし、正しい知識・知恵がなければ第2・第3のリッキーを生み出してしまうのです。
そのようにならないで欲しいという監督の魂の叫びが作品を通して伝わってきます。
間違いなく映画史に残る、社会へ一石を投じた傑作映画ではないでしょうか。