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『ジョーズ』『MEG ザ・モンスター』。そして本作『ロスト・バケーション』といい、サメ系パニック映画は、最凶の恐怖を感じられます。
医学生ナンシーが秘密のビーチの先にある岩場の上でホオジロザメに襲われる本作は、常に緊張感あふれる作品でした。
本作で出てくるサメは、これまでのサメ系パニック映画のサメと比べても非常にしつこいです。
あの執拗さは、どこからくるものなのでしょう。
さらに岩場で一緒に負傷して孤立無援状態になるのは、ナンシーと「お友達」のカモメです。
ナンシーが負傷したカモメの手当てを行いますが、カモメとナンシーとの関わりは映画内でどんな関係性があるのでしょう。
映画ラストでは、ナンシーが医学部を卒業し、「ドクター」と言われています。
医学部を辞めようとしていたのに、その心境の変化はどこから来たのでしょうか。今回はこれらについて考察します。
放置されたサメの食糧
本作に出てくるサメは非常に執拗で、何時間も経っているのに同じビーチ内に居座りナンシーを狙い続けます。
その執拗さの原因は、ナンシーよりも先に犠牲になったクジラの存在があるようです。
クジラの遺体
サーフィンをするナンシーが、最後の一本と思って沖に出るとサメに襲われたクジラの遺体がありました。
クジラを襲うあたり、通常よりも獰猛なホオジロザメの様子がわかります。襲われたクジラは、サメの食糧とされていました。
クジラほどの大きさのエサなので、サメも時間をかけて食事するでしょう。
映像内にクジラの遺体全てがなくなる、という映像はありませんでした。
つまり食糧であるクジラがそこにある限り、サメが長くビーチに居座るのです。
放置され続けるクジラの遺体
映画初めの方では、クジラに食らいつくサメが映し出されていましたが、結局ラストシーンまでクジラの遺体は放置されています。
つまりクジラは長く放置されているのです。この理由としては、常にサメにとっての新しい食糧が定期的に入ってくるから。
大きな食糧を安全に確保できる状態を作ると、サメは次なる獲物を探すのです。
自然界では常に食糧があるとは限りません。クジラを仕留めて、長い時間確保し続けられるのであれば、サメは次なる獲物を探すのです。
食糧の安定供給を確保できたサメは、次から次へと食糧を求めて動き回ります。そのため、執拗に居座り続けたのです。
新たな食糧とその誘惑
では、サメにとっての新たな食糧とは何なのでしょうか。それは映画内で出てきた、三人の犠牲者たちの存在でした。
定期的な人間の「供給」
映画内でナンシーの他に、襲われた人間が3人います。酔っ払いと若いサーファーたちです。
人間にとって、良い波が来る秘密のビーチでも、サメは、定期的に人間が供給される場所と認識しています。
だからこそ、ビーチから離れて外洋に出なくても、食糧が手に入る場所なのです。
作中では地元の人はみな、ビーチの名前を話したがりませんでした。おそらく、これは人が殺されることを連想する名前があるから。
殺されてもいいか
引用:ロスト・バケーション/配給会社:コロンビア映画
これは車で送ってくれた地元の人が、ビーチの名前を聞かれた時の反応です。
死につながるイメージの名前がついたビーチには、常にサメがおり、人間が襲われてきたことが分かります。