そう、どれだけ手取り足取り教えたところで最終的には本人が試行錯誤しないと覚えないのです。
だからこそ最後に説いたのが海亀とたとえることで心構えの部分を説いたのでしょう。
大事なことは「スキル」ではなく「思い」なのだと教えたかったと推測されます。
妻の死の真相
シンチョンの妻は物語の14年前、ターフーが7歳の時に亡くなっていました。
果たして彼女の死は他殺なのか自殺なのか、真相はどこにあるのでしょうか?
ここではその真相を突き止めてみましょう。
水死
シンチョンの妻が亡くなったのは水族館の館長が明かすところによると水死でした。
終盤でシンチョンが溺死しかけたのが擬似的な再現となっている形です。
シンチョンも妻も海が大好きで、小さい頃によく海に遊びに行っていました。
ただし、ここで大事なのは何故妻が水死したのか詳細は不明だということです。
事故死なのか、それとも自殺なのか…真相自体は闇の中になってしまいました。
ターフーから逃げた
真相は闇の中ですが、シンチョンによれば妻はターフーから逃げたとのことです。
自分の息子が重度の障害者だと知ってしまい、向き合えなくなってしまったのだとか。
そのことで心を閉ざして精神面が大きく影響を受けたのかも知れません。
リアルなのは身内が全員息子の障害を理解していたわけではないということです。
父のように受け止められる者も居れば、母のようにそれが出来ない者もまた居ます。
理屈の上で分かってはいても、受け止められるかどうかは別問題ということでしょう。
因果応報
厳しい見方をすれば、妻の死は息子と向き合うことから逃げた因果応報かもしれません。
仮に生き続けていたとしても、今度は夫がガンになったら家族を捨てて逃げていたでしょう。
母は自分の常識の外で起こる想定外のことには対処出来ない人なのではないでしょうか。
今回のことも息子と真剣に向き合うことが出来れば、水死せずに済んだかもしれないのです。
妻の死にまるで悲壮感や切なさが感じられないのは精神のあり方にあることが窺えます。
たとえ病気の息子だからといって逃げてはいけなかったと強く訴えているようです。
リンリンが公衆電話の使い方を教えた理由
ターフーと関わりが深い登場人物の中にリンリンという女の子が居ました。
彼女は徐々にターフーと仲良くなり、後半に入ると公衆電話の使い方を教えます。
ここではその理由について考察していきましょう。
2人だけの秘密
まず1つ目に、リンリンはターフーと2人だけの秘密を作りたかったのです。
障害児でありながら泳ぎが上手、かと思えば掃除は下手なターフーは不思議な子なのでしょう。
要するにリンリンはターフーのことをどこかで異性として見ていたのかも知れません。