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映画『CURED キュアード』はデヴィッド・フレイン監督のデビュー作となったSFホラー映画です。
主演のエレン・ペイジが製作も兼任し、メイズ・ウィルスという感染症を題材にしています。
「バイオハザード」のようなゾンビパニックの系譜ですが、面白いのはその舞台設定・世界観です。
本作ではゾンビパンデミックの感染拡大後の荒廃した世界観で話が進んでいきます。
治療法が確立され75%もの人々が回復者となる中、感染者として隔離されてしまう25%の人々。
その人達の社会復帰を巡って人間とゾンビの攻防が展開され、最後まで目が離せません。
本稿ではラストのキリアンの今後をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、コナーが集会を立ち上げた真意や子を救うセナンの決意も併せて読み解いていきます。
ゾンビパニック版『魔女狩り』
本作は簡単にいってしまえばゾンビパニック版の『魔女狩り』、これに尽きます。
75%の回復者と25%の隔離された感染者という多数派VS少数派の構図がそうでしょう。
大多数の人と違っていたら即座に排除する差別の構図は今も昔も変わらないのです。
ただし、ゾンビ映画でそのテーマを全面的に押し出した例は本作が初ではないでしょうか。
そもそもゾンビが出てきたから排除するという図式自体がゾンビへの差別なのです。
本作はゾンビ映画の命題を批判するクリティークの役割を担い、その禁忌に踏み込みました。
真正面からこのテーマと格闘した末にどんな結末へと辿り着くのかが本作の見所です。
キリアンの今後
終盤では感染者集団からキリアンを守り抜くセナンの姿が印象的でした。
幼子のキリアンは辛うじて生き延びますが、彼の今後はどうなるのでしょうか?
感染者になった
キリアンは幸か不幸かウィルスに感染し、隔離されてしまいました。
傍にはセナンが賢明に介護し、治療を試みるという複雑な結末です。
フラグはアビーが抱きかかえた際に感染者がキリアンに噛みついた所でしょう。
皮肉にもキリアンは差別・迫害される側になってしまったのです。
救いはそんな状況においても尚セナンが傍に居てくれることでしょうか。
差別・迫害を受ける
しかし、セナンがついたところで問題はそう簡単に解決しません。
恐らくキリアンは警察や軍など国の関係者から目をつけられるでしょう。
また、民衆からも差別・迫害を今後受けていくことになります。
彼はそういう意味でとても残酷な運命を背負ってしまった人物です。
理解者が居てくれても、多数派から排除される怖さがあることが窺えます。
少数派の運命
ここから想像されるのは少数派として生きていく未来ではないでしょうか。
キリアンはまず間違いなく世間に和して生きていける人ではないと推測されます。