いつの時代も多数派に迫害される少数派の構図は変わらないのかもしれません。

貴族達はそれ程残酷ではない

そして3つ目に、客たちから搾取するデ・ルーナ侯爵夫人はそれ程残酷ではないという意味です。

表面だけを見ると、村人たちから金を巻き上げている貴族が真の悪に見えますが違います。

貴族達は物語終盤になって落ちぶれていき、友達だった筈のラザロを簡単に見捨てるのです。

その姿は悪というにはみすぼらしく、それよりも村人たちの同調圧力こそが真の悪となります。

ラザロに牙を向けたのが貴族ではなく、他ならぬ村人たちというのが何ともリアルでしょう。

それは同時に、如何に世間が欲に塗れた人たちで構成されているかを物語っているのです。

オオカミが現れた理由

オオカミと野生のイヌ

村人たちの民意で殺されたラザロですが、彼の元に劇中2回程オオカミが現われています。

1度目が谷底に倒れた時、そして2度目が客たちによって袋叩きにされた後です。

何故オオカミが現われたのか、その理由を考察していきましょう。

神話のオマージュ

ギリシア・ローマ神話 (岩波文庫)

まず1つ目に、このオオカミは古代ローマのロムルスとレムス兄弟の神話をオマージュしています。

兄弟は雌オオカミの母乳を貰って成長したので、親なきラザロにもそれを当てはめているのです。

その神話に準えて、ラザロの神秘性を強調する演出意図になっています。

すなわちオオカミに好かれるような人間ならぬ神々しさがラザロには感じられるのです。

オオカミは基本的に人間に気概を加えない、それどころか恐怖して逃げていきます。

そんなオオカミがラザロの前に現われたのは彼が怖くないと思えたからでしょう。

死の使者

2つ目に、ラザロの命の危機に際して現われることから「死の使者」と解釈出来るからです。

ラザロが死んだかどうかを確認するために、オオカミは現われました。

1度目は無事に息を吹き返し、2度目はもう死んでいたことで去って行きました。

ここで大事なのは死んだとしてもラザロの人肉を1度も食さなかったことです。

普通人肉であればオオカミは容赦なく食しますが、ラザロにはそれがありません。

そのこともまたラザロが浮世離れした聖人であることを意味しています。

実は真の貴族だった説

3つ目に、実はラザロこそが真の貴族だったからという説が上げられます。

タンクレディとラザロは友達でしたが、冗談交じりに「半分兄弟」と言っていました。

しかし、ラザロがもしかしたら高貴な貴族の生まれだったかもしれないと解釈は出来ます。

何故ならば彼の出自は不明であり、祖母に育てて貰ったことしか背景がないからです。

敢えて背景設定を細かく書き込んでいないことで、逆に受け手の想像力を刺激しています。

もし彼の家が没落した貴族の生まれならば、あの神々しさも納得ではないでしょうか。

それも真の輝きを放つ貴族だからこそオオカミは恐らく近づいてきたと推測されます。

アントニア一家のその後

アントニア一家は最終的に没落した伯爵家によって切り捨てられてしまいます。

そこで失望したラザロと別れていくのですが、この後一家はどうなったのでしょうか?

想像力を働かせて細かく考察していきましょう。

奪い続ける

奪う者 奪われる者 X(ファミ通文庫)

まず想像出来ることとして、一家は今後も人から奪い続けることでしょう。

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