愛情の形が歪み、憎しみに変わっていくメイコの死への理由はとても生々しく感じられます。
現代は少子化に加え、核家族が進み家族の絆が軽薄になりつつあります。
少しの歪が大きなズレを生んでしまうこともあるのです。
博愛になっている現代の家族関係を考えさせられます。
7番アンリの死にたい理由
生きる価値を見出せないアンリは死をもって社会を変えようとします。
社会問題にもなっている母親の愛情不足は、我が子を可愛いと思えないという一種の病気です。
現実社会では、子を愛せない親が我が子を施設にいれたりしています。
彼女の存在は、今の時代の母親達に警笛を鳴らしているようです。
子供は望まれて生まれてくるべきなのではないでしょうか。
8番タカヒロの死にたい理由
母親から半ば強制的に薬を飲まされ続けているタカヒロもまた、親の愛情が不足している人物です。
世の中は、ADHDなどの発達障害の存在を理解し苦しみが認知されるようになってきました。
しかし、まだまだ親が子の障害を受け止められないケースが多いのも現実です。
全てを受け止めて愛する親の心が不足しています。
迷惑がかかるという理由で判断し、薬を与え続けるというのは紛れもない虐待です。
子供を監視下に置こうとする親のエゴも見え隠れしています。
9番ノブオの死にたい理由
正しく裁かれなかった加害者の苦しみが、彼の死への理由です。
身の回りには毎日のように事故が起こっています。
被害者側も加害者側も正当で正しい裁きを求めているものです。
しかし現実は理不尽で不条理なもの、ノブオは加害者側の心の闇を背負っています。
10番セイゴの死にたい理由
セイゴもまた母の愛を受けれなかった人物です。
母親がかけた保険金、通常なら母親に「殺されるかも」とは思いません。
彼がそう思い込んだのは母親から愛されてるという実感を持てない子供だったのでしょう。
幼年期に母親の愛を感じられない子供は、大人になっても人を愛することは出来ないといいます。
また、愛されない自分の命はとても軽いものとなってしまうのです。
彼は自分の命を軽く考えています。
辛くても「生きる」ことを選ばず、簡単に「死」を選ぶことは現実の世界においてもフォーカスすべき問題ではないでしょうか。
11番マイの死にたい理由
マイは無知すぎるゆえに死のうとした人物です。
「援助交際」をしているということが、実は現実社会でも多くあります。
自分の価値を分かっていないことも問題ですが、安易にお金目的で身を捧げることができてしまうことも問題です。
現代は他人に対しても博愛になっているのと同時に、自分に対しても博愛主義傾向があるといえます。
ゼロ番を運んだユキの死にたい理由
兄を殺して楽にしてあげようとしたユキもまた、ノブオ同様に加害者の苦しみを味わっています。