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映画『死霊館のシスター』は死霊館シリーズのスピンオフ作品として2018年に公開されました。
悪魔シスターの「ヴァラク」の起源を掘り下げていくアナベル人形以前の物語です。
監督はコリン・ハーディ、主演にはデミアン・ビチルやタイッサ・ファーミガを据えています。
ルーマニアの修道院を舞台に見習いの修道女と神父バークに起こる不可解なホラーが見所です。
興行成績も素晴らしい反面、批評家からはかなり芳しくない辛口の感想が多めの作品となりました。
本稿ではラストで村人フレンチにあざが出た理由をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、アイリーンが指名された理由やシスターが自害した意味も併せて読み解いていきます。
RPGのような作り
本作をホラー映画として見ると、他のシリーズ作品に比べて違和感があるかもしれません。
何故ならば、本作はドラゴンクエストやファイナルファンタジーのようなRPGらしい作りだからです。
修道院のセットや衣装、演出のタッチも「怖さ」よりも「ミステリアスさ」の方が表に出ています。
他の作品が「悪魔に恐怖する一般人」の構造なのに対し、本作は「聖者VS悪魔」という構造です。
なので、前半はおどろおどろしい雰囲気で謎解き要素として丁寧にドラマを作ります。
そして後半のアクションパートで一気に戦闘モードへと突入という形になっているのです。
どちらかといえば、「ハリーポッター」シリーズなどに近い作りではないでしょうか。
怖さよりも興奮や楽しさといった感覚の方が勝り、ホラー映画として新境地を作り上げました。
フレンチにあざが出た理由
本作のラストはヴァラクから命がけでアイリーンを守るフレンチという形で決着を見ます。
この時フレンチの体にあざが残ったのですが、何故なのかをここでは考察していきましょう。
ヴァラクに乗っ取られた
理由は簡単なもので、フレンチもといモーリスが体を乗っ取られてしまったからです。
そう、これがエンフィールド事件として本作の20年後に繋がっていきます。
あの時出てきた農夫の正体こそが実はモーリス・ティローという落ちでした。
この辺りはどうしてもスッキリしないところでありましょうか。
あくまでも前日譚なので、この結末は前半の段階から用意されたものでしょう。
一般人だった
フレンチが乗っ取られてしまったのは恐らく普通の村人だったからでしょう。
バーク神父とアイリーンはいわゆる「聖者」であり、RPGでいうところの僧侶です。
聖なる力を磨いている浮世離れした存在であるために、憑依は不可能でした。
なので、ヴァラクとしてはその盲点を突いた形になり、かなり賢い悪魔です。
アナベル人形もそうですが、本シリーズの悪魔達は戦略・戦術に非常に長けています。
一筋縄ではいかない悪魔の怖さを改めて思い知らされる出来事です。
人身御供
そしてまた、この憑依乗っ取りはフレンチなりの自己犠牲、つまり人身御供だからです。