様々な現代社会の闇を孕んでいたあの事件を時代劇に準える形で皮肉っているのでしょう。

あの事件で1番恐ろしかったのは過激な松本被告よりも寧ろそれに騙される世間の人達です。

上述したように、民意はいい方向に向かえば絶大な効果をもたらします。

しかし、間違った方向に進んでしまえば、時として悲惨なテロ事件へ発展するのです。

その冷徹な批判精神はカメラワークにおいても徹底されており、完璧なワンシーンでしょう。

猿が突然戦うのをやめた理由

嗤う猿 〈四猿〉シリーズ (ハーパーBOOKS)

膨れ上がった民意の象徴である腹ふり党と猿の戦いは凄まじいスケールの戦いへ突入します。

ところが、オサムが黒和藩に射殺された瞬間、延珍達は即座に戦うのを辞めたのです。

果たして何故猿たちは撤退を選んだのでしょうか?

戦略的撤退

戦略的事業撤退の実務

1番の理由は無駄な戦力を消耗したくないという戦略的撤退でしょう。

腹ふり党は確かにスケールこそ大きいものの、決して倒せない敵ではありません。

ただ数が多いだけで、実際に厄介なのは仕切っていたオサムだったのです。

そのオサムさえ射殺してしまえば、指揮系統を失った腹ふり党は簡単に崩壊します。

ですから、敵の大将を討ち取った時点でもう猿の軍団たちの勝ちなのです。

それは正に将棋・チェスの如く、非常に冷静沈着で合理的な戦い方でした。

損切り

2つ目に、延珍ら猿軍団は早い段階で藩主・直仁を損切りしたのです。

何故ならば直仁の政治のやり方は正論ばかりで融通が利かないからでした。

当然ここにも現代政治への批判が込められており、無能な政府への当てつけでしょう。

挙句の果て、「話せば分かる」という安易な考えで腹ふり党に突っ込んで殺されます。

それもその筈、正論で話してどうこうならないから、腹ふり党が反逆を起こしたのです。

如何に人心を掌握できていない日本の政治が愚かかを表わしていると窺えます。

直仁みたいな手合は厄介事になる前に損切りしてデメリットを最小限に抑えるのが吉です。

世間との隔絶

隔绝

そして3つ目に、真に賢い人間は上手いこと世間との隔絶を果たすからです。

延珍が仕切る猿軍団は本当にここぞという所でしか出てこない影の実力者でありましょう。

真に優れた人材は決して世の表舞台に立つことなく、また政治や宗教と関わりません。

腹ふり党と黒和藩の戦いがそうであるように、政治と宗教は最終的に利権争いとなるからです。

そこにあるのは「自分たちこそが偉い」という傲慢な優越感に基づく支配欲でしょう。

そのような争いの為の争いほど無益なものはないことを熟知しているのです。

延珍達を通して現代社会の構造そのものへの冷笑を表現していることが分かります。

十之進が殺された意味

戦いの末、体制側が殆ど潰れ十之進とろんがくっつくかと思われました。

しかし、何と十之進はろんに肝臓を刺され、殺されてしまったのです。

ここでは衝撃の結末の意味を考察していきましょう。

仇討ち

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まず1つ目の意味として、これはろんの十之進に対する仇討ちなのです。

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