映画の中で描かれた親子愛は、監督が求めたものだったことを後に宏役の池内博之が語っていました。
酒井義廣が息子のそばで死んだのは、死んだ息子に駆け寄った親子愛の為であり、必然的な流れだったのでしょう。
彼の最後のセリフは、親としての最大の愛を感じるセリフとなりました。
親離れ出来ていない宏が描かれていましたが、本当に離れられなかったのは父親の方だったのかもしれません。
ただの悪役で終わらせない演出
この薬で我々は人類の更なる進化を目指したんだ
後悔はない
引用:マンハント/配給会社:ギャガ
酒井義廣は最後に上記の言葉を残しています。
ただ自身の金儲けの為に新薬を開発していたわけではありません。
確かに行き過ぎた行為ですが、彼には彼なりの理想があったことを明かしています。
ダメな息子を可愛いと思う親であり、人類の未来への野望を持った人物だったのです。
悪役をただの悪役で終わらせず、魅力あふれる人物に変えてしまうのはジョン・ウー監督の手腕ではないでしょうか。
ジョン・ウー監督らしさが光る作品
本作は原作となった「君よ憤怒の河を渉れ」と比較すると、だいぶアクションシーンが派手になっています。
「君よ憤怒の河を渉れ」は中国で驚くべきヒットを上げた作品です。
オマージュ
ジョン・ウー監督もこの映画に感銘を受けた一人で、本作の中にもオマージュが多々盛り込まれていました。
映画冒頭の杜丘のスキャットも「君よ憤怒の河を渉れ」の有名な曲となっています。
またラストシーンの駅での別れは、高倉健へのオマージュではないかとファンの間で話題になりました。
白いハトを見逃さないで
ジョン・ウー監督といえば白いハトが有名ですが、本作にもしっかり登場しています。
矢村とドゥ・チウの格闘シーンで、白いハトが飛びかい二人とも助かっていました。
またドゥ・チウが真由美と逃げる際も白いハトがいます。
今回の白いハトには純粋や潔白が表現されているのでしょう。
ドゥ・チウが無罪であること、矢村が正直な警察であることの伏線となっているのです。
本作を観返す際は、白いハトの登場に注目して観ると面白いかもしれません。
国内が舞台となった豪華な作品
本作は工藤工や田中圭がチョイ役で登場する程、豪華なキャストで話題となりました。
クールなアクションばかりではなく、奥の深い人間ドラマをたっぷりと観せてくれる映画です。
それぞれの立場から、それぞれの想いを感じて観返してみるとまた違った景色が見えてくるのです。
世界のジョン・ウー監督の世界を堪能できる作品ではないでしょうか。