殺意と殺人の違いを理論武装することで、自身の立場を正当化しているのではないでしょうか。

罪悪感はあれど、南郷とてどこかで死刑囚を殺すことを仕事だと割り切っているのですから。

それにもかかわらず、刑務官は影の英雄となり、殺人犯は悪党扱いされてしまうのです。

そう、この台詞や三上と南郷の対比を通して、死刑制度の問題を浮き彫りにしています。

同時にこれが世界の多くの国で死刑制度が廃止されている根源的な理由でもあるのです。

階段捜索時に三上が秘密を明かした理由

13階段 (講談社文庫)

三上と南郷は宇津木夫妻殺人事件の調査に向かい、階段の捜索を行います。

その時三上は南郷にかつて自身の恋人・木下友里が恭介に強姦された過去を明かすのです。

それまで明かさなかった秘密を何故南郷相手に喋ったのでしょうか?

共時性があった

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まず1つ目に、宇津木夫妻殺人事件と三上の過去が実は共時性があったからです。

2つの過去が殆ど同じ日に違う場所で起きていたという奇跡の出来事がありました。

これは同時に、三上と南郷が単なる刑務官と囚人という立場の違い以上を意味します。

全てが必然であったかの如く、別々の事件が少しずつ絡み合っていくのです。

それは同時に南郷と三上の関係性が「相棒」という形になった瞬間でもあります。

頭ごなしに否定しない

2つ目に、南郷が三上のことを決して頭ごなしに否定する人ではないからでしょう。

殺人と殺意の違いを語ってみせたように、南郷は殺人に対して厳しい考えをお持ちです。

しかし、だからといって囚人や殺人犯を一方的に悪党扱いをせず中立的に扱います。

物事を俯瞰して客観視している人だからこそ、三上も安心して話せたのではなないでしょうか。

それに三上が自身の過去を明かしてくれたからこそ、南郷も自身の過去を明かせました。

自分の過去を正直に打ち明け素を見せることは人間関係を前進させることに繋がります。

過去の清算

過去の清算 (新装版 戦後日本 占領と戦後改革 5)

そして3つ目に、三上は自身が行った過去の精算を行うことを決意したからです。

結果的に「事故」だったとはいえ、恋人を強姦された恨みで佐村を殺そうとした事実は消えません。

それが佐村の父・光男の怒りを買い、ずっと消えない怨恨となっています。

ここで三上は改めて南郷との調査を進める中で、逃げてはいけないことに気付いたのでしょう。

まるで階段を1つずつ上るように、じっくり自身の過去と向き合って生きていくこと。

南郷に打ち明けることで、改めてそこから逃げないように自身の意識を高めたと思われます。

つまり、三上純一という仮釈放の囚人の物語がこのシーンから動き始めるのです。

安藤の殺人動機

動機 D県警シリーズ

物語終盤、南郷が予測を立てた通りに安藤が宇津木夫妻殺人事件の真犯人でした。

三上と光男の因縁と並ぶ本作のクライマックスですが、彼の殺害動機は何だったのでしょうか?

脅迫されていた

脅迫者 警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫)

安藤の殺害動機は自身が過去に犯した罪をネタに宇津木夫妻から脅迫されていたからでした。

つまり、やっていることがいじめっ子といじめられっ子の関係と何ら変わりません。

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