出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B00008702W/?tag=cinema-notes-22

映画『13階段』は高野和明の長編ミステリー小説を2003年に実写化した作品です。

デビュー作で「冤罪」というテーマを真正面から描いたことから以下の功績を残しました。

第47回江戸川乱歩賞受賞作品。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/13階段

監督は長澤雅彦、主演を反町隆史と山崎努が務め、脇も豪華布陣で固められています。

仮釈放中の三上純一と定年間近の南郷正二が10年前の殺人事件の真相を追う変則的な構成です。

刑事ドラマの定番であるバディものを囚人と刑務官という形にするのも挑戦の意が見られます。

真相の追究を通して、日本の死刑や刑事法・殺人などを再定義する物語は中々類を見ません。

本稿では南郷の語る殺人と殺意の違いをネタバレ込みで考察していきましょう。

また、階段捜索時に三上が秘密を明かした理由や安藤の殺人動機も読み解きます。

死刑制度と殺人

死刑制度

本作のテーマは殺人事件の追及を通した死刑制度と殺人の再考です。

日本は死刑制度がシステムとして残っていますが、世界全体で見れば少数派の国になります。

その理由はいうまでもなく、死刑制度が所詮「合法化された殺人」だからではないでしょうか。

どんなに綺麗事や法律で糊塗したところで、死刑執行と殺人は本質的に同じ存在です。

しかし、死刑執行は良きことと称賛され、殺人は悪しきものと否定的に扱われます。

よくよく考えていくと、死刑制度はその前提が疑われない為に有名無実化しているのです。

本作はそれを三上純一と南郷正二の2人を中心に複層構造として問うています。

その構造を本題に沿って読み解き、何が最終的なメッセージとして残るのかを見ていきましょう。

南郷の語る殺人と殺意の違い

殺意

本作の見所の1つが後半で南郷の語る「殺人」と「殺意」の違いです。

これは物語のテーマとも大々的に絡むシーンであり、様々な意味があります。

物語の具体例なども踏まえながら、両者の違いを読み解きましょう。

「殺す」という意思の有無

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まず端的に分かる違いとしては「殺す」という意思の有無ではないでしょうか。

これは同時に囚人の三上と刑務官の南郷の明確な違いにもなっています。

三上の場合は「事故」で冤罪だったとはいえ、裏には「殺す」という意思がありました。

一方の南郷は「殺す」という意思はなく、仕事として死刑執行を行っています。

殺人犯と死刑執行人の違いはまず1つ「殺す」という意思があるか否かにあるといえるのです。

同じことをやったとしても、それがどのような背景や事情・立場で行うかで全然違います。

罪悪感の有無

2つ目に挙げられるのが殺した後に生じる罪悪感の有無であり、これが決定的な違いでしょう。

明確な殺意のある殺人犯は人を殺して尚罪悪感が生じる感覚は微塵もありません

寧ろ、その一線を超えて人を殺せる狂気こそが殺人犯を殺人犯たらしめるのです。

一方の死刑執行人は死刑執行した後、罪悪感に襲われ殺して良かったかどうかを疑問に思います

南郷が死刑に処した寺田でさえ、死刑前には改心していたことが余計にそう思わせるのです。

だからこそ、死刑執行の刑務官という職業は生半可な精神力では勤まりません。

おためごかし

しかしこれらも突き詰めていくと、南郷のおためごかしという印象は否めません。

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