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映画【ハルチカ】は初野晴の小説「ハルチカ」が原作です。映画に先立って原作小説に基づいた12回シリーズのTVアニメも製作されています。
この映画は小説やアニメと全く異なるコンセプトで制作されました。原作やアニメにあった推理小説的色彩は完全に排除されています。
基本的には橋本環奈と佐藤勝利二人のダブル主演によるアイドル映画という位置づけです。
最大の見所は演奏会で失敗したチカを、部員たちが学校の授業中に独特のやり方で励ますシーンです。
チカはなぜラストの演奏で成功できたのか
このため演奏会の成績は散々だったと思われますが、映画では意図的にその部分の説明は省かれています。
冗長性の排除に違いありません。
落ち込むチカでしたが、ハルタや部員たちがサプライズな形でチカを励まします。
なぜハルタや部員たちがここまで団結してチカを励ますために努めたのでしょうか。
ハルタの貢献
ハルタはこれまでチカが自分のことはさておいて、チームのためにつくしてきたことを知りつくしていました。
ハルタ自身も勉強と吹奏楽部の両立という難題を抱え、練習中に倒れるほど無理がたたっている状態でした。
そんなハルタを気遣うチカや草壁先生がいることもハルタは理解していたのです。
ハルタは今度こそ自分がチカを支える番だと敢えてバスの中でチカに突っかかったり、埠頭でチカを抱きしめたりします。
チカがソロパートの演奏を成功できるように、サプライズ演奏で何度も同じ部分を繰り返すようにリードしたのもハルタでした。
授業中にもかかわらず部員たちがそれぞれの場所でチカのために演奏するという企画を仕掛けたのはハルタだったに違いありません。
部員たちの団結
吹奏楽部の部員たちは練習中のチカの失敗を切っ掛けに一度はぶつかり合います。
これこそが部員が一体化するための必須のプロセスでした。
皆が言いたいことを言い終わった後「今こそ我々はチカが自分自身に向き合うのを見守るときだ」とのハルタの言葉が切っ掛けになりました。
これによって一気に部員の団結が強固になるのです。
部員たちにとっても草壁にとっても演奏会でのチカの失敗はたいしたことではありませんでした。
一体になれる(なれた)実感こそが重要だったのです。
これがラストのサプライズ演奏につながり、チカの成功に結びついたといえます。