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映画【ひまわり】は、イタリアを代表する二大映画スターであるマルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレン主演の作品です。
珍しいイタリア・フランス・旧ソ連合作による反戦映画という位置づけになっています。
タイトルの「ひまわり」には深い意味があり、戦争により引き裂かれてしまう普通の人の人生が余すことなく描かれた映画史上に残る傑作です。
この作品は単なる反戦映画ではありません。
ジョバンナといういかにもイタリア女そのものといえる女性のエネルギッシュな生き様と一途な愛にも注目する必要があります。
変われたアントニオと変われないジョバンナ
もし戦争がなければ何てことはない普通のイタリア男と女が多くの子供たちに囲まれて幸せな人生を送ったことでしょう。
戦争は二人の生き様に残酷な選択を迫ることになりました。
その選択が良かったのか悪かったのかという問題ではなく、結果的にそうなってしまったのです。
戦争以外に誰かが悪かったわけではありません。
アントニオは浮気男か
アントニオは生まれ変わります。それを浮気男の自己都合と非難するのは簡単です。
しかし、そこにはアントニオ個人ではどうしようもない運命の奔流があったことを忘れてはいけません。
ロシアの白い地獄の中で偶然彼を助けることになるマーシャとの出会いはまさに運命でした。
彼の遺骸の上にひまわりが群れても決しておかしくなかったのです。
彼は後にジョバンナに「自分はあそこで一度死んで生まれ変わった」と説明します。
言い訳がましく聞こえなくもありませんが、彼の立場に立てば助けられたマーシャにすがるしかなかったのです。
男と女が一緒に生活すれば情が移り、一種の愛も生まれるのは避けようがありません。
彼にはイタリアに愛する妻や母がいることはアントニオもマーシャもわかっていました。
このため二人とも精神的にはどこか落ち着かない部分があったはずです。
彼は送り出してくれたマーシャの好意に甘えてジョバンナと再会します。
ジョバンナに元に戻ろうと迫るアントニオはいい加減な男なのでしょうか。
彼は長い間自分を待ち続けてくれたジョバンナに必死で応えようとしたのです。
決してその場限りの無責任な気持ちではありませんでした。
待ち続けたジョバンナ
結婚してたった12日しか一緒に過ごしたに過ぎない男を、これだけ待ち続けることができるものなのでしょうか。
その結婚も男が兵役を逃れる言い訳のような結婚でした。
女の一途な愛には、一緒に過ごした時間の長さや出会いの切っ掛けなど関係ないのです。
ジョバンナはアントニオを瞬間的に愛し、必ず生きてかえるという彼の言葉を信じた。ただそれだけなのではないでしょうか。
彼女の時間軸は過去からも未来からも切り離されていました。彼女は今その時を生きていたのです。
元の鞘に戻れなかった二人
一度は会うことを拒絶したジョバンナでしたが、運命のイタズラでアントニオが旧ソ連に帰れなくなったため二人は再会します。