「自分のようになって欲しくない」というからには、今日子も修太のように、かつて誰かのために過去を変えようとしたのでしょうか。

彼女は修太に「強引に変えてはいけない」ともいいました。

彼女はきっと強引かつ強制的に過去に介入したに違いありません。

あまりに極端だったために時の狭間に迷い込んでしまったのでしょう。

恐らく彼女の姿が見えるのは修太だけだったと思われます。修太もタイミプリズナーになる可能性があったのです。

修太の場合

エンディングを見る限り修太は朔とミチルに見えていました。

ということは、修太は今日子と違ってタイミプリズナーにはならなかったのでしょう。

今日子のアドバイスにしたがって、修太は強引に過去をねじ曲げることなく朔の命を救うことに成功したのです。

でも若干の強制介入はあったため記憶を失うという代償を払いました。

あれだけ小さい頃からの思い出が一杯の三人でしたから、互いの記憶を失うということは想像以上に残酷なことだったに違いありません。

そういえば三回忌の際、朔の母親は「忘れられることが一番つらい」という趣旨のことを話しています。布石の一つです。

もう一つの未来

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お互いに他人同士として別れてしまう最後の切なさに直面すると、もし修太が過去に介入しなかったらどうなったのだろうと考えてしまいます。

修太が介入しなければ朔は死んだままです。ミチルはどうでしょうか。

恐らく何も知らずにイギリスに旅立ったでしょう。朔が修太にミチルのラブレターを渡してくれることを信じて。

朔の死を知ることになる修太もミチルも自分を責めるに違いありません。

そのような中で修太とミチルがハッピーになれるはずもなく、二人は青春の影を背負って残りの人生を生きていくことになったかも知れません。

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この物語は修太の奮闘で朔の命が助かってハッピーエンドということにはなりませんでした。

修太はミチルとの幸せな未来と朔の命を交換します。

朔の命は助かっても修太のことを好きだったミチルはその過去の記憶をなくしてしまうのです。

何とも残酷な究極の選択ですが、修太は朔の命の方をとりました。

それは同時にミチルを朔に渡すことでもあったのです。

幸せそうな朔とミチルのカップルに見知らぬ他人として接する修太の姿には涙を禁じ得ません。

今日子の「私は忘れない」という言葉にもなおさら切なさがこみ上げます。

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