人工知能がどのような予測をしたとしても、最終的な決断は当事者本人です。
その最終的な決断すらも、人工知能に任せてしまっているのが本作の世界といえます。
つまり、人工知能を盲信することは、物事の結果の責任を人工知能に求めてしまいかねないことを表しているのです。
VRが見せた未来に隠された真意とは?
本作では度々、登場人物の未来をVRで追体験するシーンが存在します。
このVRが見せる未来については、様々な意味が隠されているのです。
ここでは、VRが見せる未来に隠された真意について考察していきます。
人間性の支配
「SIN」に登場したVRが作り出した未来の様子はあくまで可能性であり、不確実なものであるといえます。
実際に殺害する様子をVR化した映像も、どのような心境や状況なのかは明確化されていません。
さらに、VRの内容は断片的なものであるうえ「母親を殺害する」という一番見せたい部分のみが強調されています。
ここから考えると、VRが作り出した未来図は政府や教育機関にとって都合が良いように作成されたと考えられるのです。
政府や教育機関にとって都合が悪い性質を持つ人間を矯正し、支配するディストピア的思考を体現したものといえます。
依存
「SIN」では、親を殺害するかもしれないという未来をVRで表現していました。
しかし先ほどの「人間性の統率」という考察に基づいて考えると、VRを見る者にとっての幸せな未来を見せることも可能といえます。
VRが描く幸せな未来や予測に依存させ、政府や教育機関が決めた未来の通りに人々を進ませることもできるでしょう。
映画のタイトルに隠された意味とは?
映画のタイトルである「LAPSE(ラプス)」という言葉。
一見何の意味もなさそうな言葉ですが、実は本作のタイトルには様々なメッセージが隠されているのです。
ここでは「LAPSE」という本作のタイトルに隠された意味について考察していきます。
人間の堕落
「LAPSE」という言葉は英語で「うっかり間違う」や「堕落する」という意味があります。
つまり本来の意味から逸れ、人工知能やクローンに依存することは人々を堕落させてしまうことを意味しているのです。
今後あり得る未来
また「LAPSE」には他にも「時の経過」という意味もあるのです。
ここから考えると、本作の世界観が現代日本の未来の姿の1つであることを意味していると考えられるでしょう。
また作中では、登場人物達が「これはリアルだよ」と話しているシーンが度々存在します。
つまりこの言葉は、作中の出来事は夢や空想などではなく、未来で起こり得る出来事であることを示唆しているのです。
まとめ
監督が異なる3つの未来を描いた作品であるSF系作品「LAPSE(ラプス)」。
同じく「未来」をテーマとしていながら、細かい描写や作風が大きく異なっています。
ぜひそれぞれの監督による、表現の違いを見比べながら観て欲しい作品です。