出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B07Y3HJP3R/?tag=cinema-notes-22
映画『パドマーワト 女神の誕生』はインド映画史上最大のスケール感を誇る作品でしょう。
マリク・ムハンマド・ジャーヤシーの叙事詩『パドマーワト』を基にサンジャイ監督が映画化しました。
主演がディーピカー・パードゥコーンとシャーヒド・カプールという豪華絢爛なキャスティングです。
16世紀のインドを舞台にメーワール王国の伝説が再現され、完成度も非常に高く以下を受賞しています。
アジアヴィジョン・アワード最優秀主演男優賞・最優秀悪役賞
ダーダーサーハバ・パールケー・エクセレンス賞最優秀主演男優賞・最優秀主演男優賞
第66回ナショナル・フィルム・アワード最優秀男性プレイバックシンガー賞・最優秀音楽監督賞・最優秀振付賞引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/パドマーワト_女神の誕生
しかし、その反面やや時代がかった旧体制の国家の描き方などが問題視され、公開には幾分難儀しました。
それだけ話題を呼んだ作品であり、興行収入はボリウッド映画でもトップ10入りを果たしています。
本稿では終盤でパドマーワティがジョーハルの許可を求めた理由をネタバレ込みで考察していきましょう。
また、彼がラストで炎の中に身を投じた意味も併せて読み解いていきます。
絶世の美女ディーピカー・パードゥコーン
本作を語る上で、何といっても外せないのは女優ディーピカー・パードゥコーンではないでしょうか。
パドマーワティもといラーニー・パドミニーは彼女でなければ演じられなかった筈です。
パドマーワティは卑弥呼やクレオパトラと同じようにその存在自体が実物以上に伝説化しています。
史実では7つの海を渡った後チットールガルへ戻ったとされていますが、その真偽は不明です。
メーワール王国共々その歴史自体がどうなのかは不明瞭なブラックボックス要素が沢山あります。
しかし、謎めいた存在だからこそこれだけの神秘性とファンタジー感を出せたのでしょう。
ディーピカー・パードゥコーンのビジュアルと演技力がなければパドマーワティは成立しませんでした。
本作はそういう意味でパードゥコーンの評価を盤石なものにした作品といえます。
パドマーワティがジョーハルの許可を求めた理由
本作1番の見所は何といっても怒濤の終盤にあり、いよいよ敵とのクライマックスが描かれます。
ここでパドマーワティはジョーハル、日本でいうとこの自己犠牲じみた特攻の許可を求めるのです。
何故彼女がこのような決意をしたのかをここでは考察していきましょう。
アラーウッディーンの野望を阻止する
1番の理由はアラーウッディーンの野望を阻止するために選んだ最期の手段だったからです。
彼女は何も自らこの自己犠牲を選んだわけではなく、状況を客観的に鑑みて判断しました。
アラーウッディーンの野望は何かというと、パドマーワティを得ることにあったのです。
だからこの死は単純な「自己犠牲」だけではない、パドマーワティなりの戦いがありました。
それは決してアラーウッディーンという悪党の思い通りにしないことです。
その野望の阻止が目的であればこそ、彼女は最期まで夫と共に戦うことが出来ました。
劣勢であった
2つ目に、そもそも全体の状況としてメーワール王国はこの戦いに勝ち目がなかったからです。
ハルジー朝を相手に真っ向勝負で戦って勝てるほどの軍事力を持ち合わせていませんでした。
だから、このまま戦い続ければ降伏か全滅以外に道がない、どう足掻いても絶望の状況です。
そのような状況で生き長らえる位ならいっそのこと自決した方がマシだと判断したと推測されます。
ここで驚くべきは破れかぶれの八方塞がりではなく、冷静沈着な判断力でそうしたことでしょう。
パドマーワティは本作において、実は1番肝が据わった人物であることがここで分かるのです。
ラタン・シンへの愛
そして3つ目に、何といっても夫ラタン・シンへの愛が根底にあったからです。
彼女はジョーハルを決意する前に夫共々牢獄に入れられ、野望に利用されそうになりました。