出典元:https://www.amazon.co.jp/dp//B07MCB5C2Z/?tag=cinema-notes-22
【search/サーチ】は映画の全編がPC画面上で進められるという非常に特徴的な撮影手法の作品になっています。
最後のクライマックスにおけるどんでん返しは観るものをアッと驚かせますが、作品の至る所に張り巡らせた伏線もまた見物です。
「search/サーチ」というタイトルにあるように、父親であるデビットがPCを駆使して娘の行方を追及する執念の凄まじさには驚かされます。
この作品では親と子の精神的なすれ違いとそれによって生まれる可能性のある悲劇もテーマの一つです。
真犯人の正体と目的
何といってもこの作品ではマーゴットが行方不明になった理由が大きな焦点になっています。
父親との確執から家出し変質者に殺害されるという流れに我々を導きつつ、最後にこれらのストーリーをバッサリ切るどんでん返しは見事です。
直接マーゴットを崖から突き落としたロバートの行動の動機や母親であるヴィック刑事が息子をかばったわけを探ってみましょう。
ロバートがマーゴットを突き落としたわけ
ロバートに悪意はなかったに違いありません。彼は単にマーゴットと仲良くなりたかっただけなのです。
しかしながら母親を病気で失ったマーゴットの心情につけ込んでマーゴットの同情と共感を得ようとしたやり方は頂けません。
ましてやネットの匿名性を利用して自分を他人になりすますのは犯罪行為に近いものです。
ネットというバーチャル空間で互いに模擬的な触れあいをしている分には問題ありません。
でもこれがいざリアル空間に接した瞬間、悲劇が起こる可能性が出てくるのです。
息子のロバートをかばったヴィック刑事
ヴィック刑事の行動は母親としての視点で見れば心情的に理解できる部分がないとはいえません。
彼女は刑事として非常に優秀でした。息子ロバートをかばうために仕組んだ作戦も見事です。
息子の窮地というショッキングな状況にも関わらず、彼女が立てた作戦は刑事という立場を利用した隙のない完全犯罪に近いものでした。
デビットの執拗なsearch/サーチがなければ、彼女の思惑通り変質者の犯行としてマーゴット事件は決着した可能性があります。
しかしながら彼女の行動は許されざる犯罪行為であることは論を待ちません。
冷静で優秀な将来を嘱望されていたであろうヴィック刑事も息子を守る母親としての母性の前に我を失ったのです。
淡々と警察の取り調べに対応する彼女には一種の哀れを感じるではありませんか。
レッスン料の行方
この作品ではお金に絡んで25という数字が二つ出てきます。
一つはヴィック刑事の息子ロバートが募金詐欺をはたらいた金額で、これが25ドルでした。
もう一つがマーゴットの車に残されていた2,500ドルです。この2,500ドルは何を意味しているのでしょうか。
車に残された2,500ドル
マーゴットの車に残されていた2,500ドルはマーゴットがため込んだピアノのレッスン料でした。
マーゴットは亡くなった母親を思い出してしまうことからピアノのレッスンには通いたくなかったのです。