キヌ子は大櫛から本物の妻の手紙を渡され、実際に読む場面がありました。
キヌ子は手紙を読んでいきますが、書いている熟語などを誤って読んでしまいます。
手紙を書いた張本人が漢字の読み方を間違える訳がありません。
手紙を出したはずの妻が内容をまともに読めないのは、おかしいと判断されたのでしょう。
なぜ田島は女性にモテていたのか
この物語は、田島が複数の愛人を作っていたことから始まります。
彼はなぜこんなにも女性にモテてしまったのでしょうか。考えられる要素は2点です。
母性本能をくすぐる
田島は精神が弱い男性らしく、道端に野良猫が倒れていても胃腸が弱くなってしまうようです。
また、変に女垂らしなダメ男の一面もあるため、母性本能をくすぐる存在なのかもしれません。
精神が弱く、ダメ男気質がある彼の存在は、愛人になってしまった人の母性本能をくすぐった結果ともいえるでしょう。
紳士的かつ誠実な態度
田島は服装や立ち振る舞い込みで、周りからは紳士に見られがちな人物です。
そして相手のことを常に考えており、愛人となった女性たちはそれが彼の優しさと見えてしまったのでしょう。
また、愛人として付き合う際には妻の存在を隠さなかったようで、女性たちからは悪人に見えなかったのかもしれません。
彼の正直な一面と紳士的かつ誠実な態度が、彼女たちを惚れさせるきっかけになったのでしょう。
キヌ子の協力無しでは愛人と別れられない意気地無しの男ですが、彼女たちにとっては魅力的な人物だったのではないでしょうか。
キヌ子はなぜ田島の墓を建てたのか
物語終盤、キヌ子は失踪した田島に立派な墓を建てました。
彼女はなぜ田島に立派な墓を建てようと考えたのでしょうか。考えられる理由は2点です。
田島に好意を抱いていた
担ぎ屋で生計を立てるため、金にがめついキヌ子。
仕事柄で力が強く、大食いの彼女はこれまで女に見られたことが無かったと考えられます。
田島がキヌ子に告白したことが、彼女にとって初めて女に見られた瞬間だったのかもしれません。
初めての恋心、または愛人や妻が離れていって弱っている彼を見て惹かれていったのではないかと考えられます。
初めて抱いた恋心に戸惑いながらも、周りに比べて大きな墓を建ててしまったのではないでしょうか。
独り身の辛さを知っているから
田島と出会う前のキヌ子は、ずっと1人で生きている様子でした。
頼れるのも信じられるのも自分1人。