出典元:https://www.amazon.co.jp/dp/B08KC66CXM/?tag=cinema-notes-22
ブラックコメディとして話題を集めた『MANRIKI』は、2019年公開の作品です。
常識を打ち砕くような作風に、賛否両論が繰り広げられた映画でもあります。
斎藤工と永野が作り出す世界はつかめそうでつかめない、そんな魅力が詰まっていました。
本作に出てくる整顔師の正体や、最後に言い残したセリフの真意を細かく読み解いていきましょう。
また整顔師が施術をした人の共通点を深く掘りさげ、映画の本質に迫っていきます。
常識を捨てた「狂気」の側から映画を観ていくと、そこに真実が隠されているのではないでしょうか。
整顔師の正体
劇中で万力工具を使って小顔矯正をおこなう整顔師は、何を表現しているのでしょう。
彼の正体に迫ります。
カリスマ性を持った男
整顔師は独特のカリスマ性をもった男性です。
美しい容姿と揺るぎない哲学をもっている人物であり、善や悪といった常識を超えて人々を惹き付けているのでしょう。
劇中で普通の人々として描かれているのは、周囲に上手く溶け込み器用に生きている人物達です。
整顔師は、美への哲学が常識を突き抜けてしまったような人物として描かれています。
それゆえに良くも悪くも、彼の姿からはカリスマ性を強く感じるのです。
独自の正義感を持つ男
整顔師は悪役のはずですが、彼からは悪意を感じません。
それは彼が自分の行動を正義だと思い込んでいるからでしょう。
悪意を持っている行動であれば、少なからず罪の意識も付随します。
しかし、彼には一切罪の意識はありません。
究極の小顔矯正という犯罪は、彼にとって正義の行いなのです。
劇中の整顔師は、正義という名の元に罪を犯していたことになります。
本来の美しさが見えている男
美容クリニックの整顔師は下記のセリフを口にしていました。
あなたが美しくなる事で自信を持ち、本来あなたが持っている価値を引き出すことだ
引用:MANRIKI/配給会社:HIGH BROW CINEM・東映ビデオ
彼の言葉はクリニックの医師として、もっともなことをいっているように聞こえます。
しかし、彼の本意は本来持っているものを引き出す方にあるのではないでしょうか。
それは綺麗になりたいと願う素直な心、コンプレックスを持ちながら見せないように振舞う心です。
本来人間が持っている美しさとは、コンプレックスという名に置き換えられてしまった個性なのでしょう。
制裁を与える男
整顔師の持つ独自の哲学に沿えば、整形をしようとする女性や無理な若作りをする女性は罪な存在となります。