ふさわしい靴を履くように注意され、映画館に入れなかった女性がいました。
これを女性差別と抗議したジュリア・ロバーツは、裸足でレッドカーペットを歩いたのです。
映画界で話題になったニュースであり、一見関わりのないことのように感じます。
しかしアナーキズム的な要素の強い園子温監督を視野に入れると、無視出来ないエピソードといえるのではないでしょうか。
本作自体は、青春真っただ中の喜朗の妄想に満ちた世界です。
女性の持つエロスは卑猥さを感じず、むしろ女性の持つ強さのように描かれているのも監督だから成しえたことなのでしょう。
観る者を選ばない鬼才監督の作品
本作は限りなく下ネタによった作品でありながら、男性の哀愁を感じさせ様々な世代で楽しめる映画となっています。
映画にいやらしさを感じさせないのは、これでもかというほど堂々とエロさを描いているからでしょう。
男性の情けない姿を強調
主役の喜朗をはじめマキタスポーツ演じる永野が、欲望を表に出しています。
日常の世界ではひたすら隠し通している人間の本能を、全面的に表に出しているのです。
女性の視点からは「男子はこんなことを考えているのか」と、ありえない展開にクスっと笑ってしまうシーンが沢山あります。
心の表と裏をひっくり返したような男性達が、とことん間抜けな姿に描かれている面白さは他では味わえないのではないでしょうか。
テレビドラマ化では不評の嵐だった
2013年から始まった深夜枠でのドラマ化では、当初不評の嵐だったと監督は話しています。
とはいえ、そんなことを気にする監督でもないように感じるのですが…。
不評からはじまった「みんな!エスパーだよ!」は、最終的には下記賞を受賞する傑作となりました。
ギャラクシー賞2013年7月度月間賞並びに、第51回ギャラクシー奨励賞テレビ部門をそれぞれを受賞
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/みんな!エスパーだよ!
監督独特の世界観は、引き込まれて初めてその魅力に気がつくのかもしれません。
本作もくだらないな…という出だしからはじまり、いつの間にか劇中に引き込まれた、という声が多く聞かれます。
娯楽価値の高い青春SFコメディ
『映画 みんな!エスパーだよ!』は窮屈な日常にこんな世界もあっていいのではないか、と新風を巻き起こした作品です。
笑える設定に必死になる主人公たち、人間の心を奥を解放したような爽快感はまさに娯楽映画といえるのではないでしょうか。
「リアル鬼ごっこ」や「新宿スワン」など話題作が続く園子温監督ですが、本作は堅苦しい世界を飛び出した名作となりました。