ひろみはパートナーに自分自身をある程度さらすことを覚えたのです。
自分をさらすことは、これまで頑なに鎧の中に自分を押し込めてきたひろみとっては非常に勇気のいることでした。
そのような二人の関係はひとみにとって一種特別なものであるべきだったのです。
自分専用に買ってくれたはずのヘルメットが別の女性に使われることにひろみは我慢できませんでした。
恐らく剛にはひろみの心の中のダークサイドは理解できておらず、また、そのようなことに気を使う剛でもなかったのでしょう。
剛との関係はある意味ひろみの一人芝居だったのではないでしょうか。
彼女が一人芝居から脱して、お互いに弱い部分も含めて認め合えるパートナーとの出会いは三沢の出現を待つしかなかったのです。
三沢との場合
三沢はひろみにとって運命の人でした。運命の人が意外と近くにいたということはよくある話です。
三沢は職場などでは全く目立たない存在でした。強い自己主張はありませんし、一般の女性を引きつける魅力もありません。
そのような三沢とひろみが惹かれ合う関係になったのはどのような要因があったのでしょうか。
ひろみが三沢に惹かれたわけ
ひろみは決して三沢の男性としての魅力に惹かれたわけではありません。
切っ掛けは三沢が持っている純粋なやさしさ、思いやりをひろみが直感的に感じたことでした。
思わず心が温かくなる雰囲気です。それはこれまでのひろみ自身が持っていないものだったのです。
やがてひろみにとって三沢は彼女の全てを受け入れてくれる存在になっていきました。
ひろみが三沢に対して自分のダメな部分を暴露し、それでも嫌いにならないかを確認します。
このシーンでは、これまで誰にも心を開いてこなかった宏美の痛々しさを感じさせるのです。
もちろん三沢とていきなりひろみの全てを受け止められたわけではなく、二人が関係を深化させるためには一定の時間が必要でした。
三沢がひろみに惹かれたわけ
三沢は自分自身や人の心を静かに見つめ続けてきた男でした。
自分を飾ることにもほとんど関心はなかったのです。
そんな三沢がひろみに惹かれたのは、彼女が心の中に秘めてきた悲しさややるせなさに共感したからではないでしょうか。
もちろん彼も男ですからひろみの女性としての魅力に惹かれた部分はあったことでしょう。
でも居酒屋で彼がひろみに「好きです」と告白したのは、彼女の独白の中に自分自身と同種の何物かを感じ取ったからに違いありません。
三沢はそのような人との出会いはほとんど不可能と考えていたことでしょう。
彼にとってはひろみとの出会いはまさに奇跡的なことだったのです。
一度距離を置いた二人
お互いに運命の人との出会いでしたが、心のすれ違いが重なり三沢の提案で二人は一度距離を置くことになりました。
お互いにそれぞれを必要としながら距離を置かざるを得なくなったのはなぜなのでしょうか。
多くの場合一度距離を置くと関係を修復するのは難しいものですが、二人はこれを乗り越えます。
よりステップアップした関係を築くことが出来た要因にも迫ってみましょう。
距離を置いた原因
お互いに心の深い部分でわかり合える関係になったとしても、表面的な行き違いや思いのズレは起こりえます。