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名監督クリスティーナ・チョーが脚本も手がけた話題作『ナンシー』は、2018年公開の映画です。

インディーズ映画とは思えぬ完成度で、アンドレア・ライズボローやスティーヴ・ブシェミなどの名優が出演しています。

予告編ではサイコミステリーだといわれていましたが、その期待はいい意味で裏切られたのではないでしょうか。

劇中で検査結果に泣き崩れたエレン、そしてナンシーが立ち去る決意をした真意を考察していきます。

なぜ彼女は泣きながら微笑んでいたのか、心理描写が絶賛された名作を紐解いていきましょう。

ナンシーが泣きながら微笑んでいた理由

雪道

ラストシーンで、なぜナンシーは泣きながら微笑んでいたのでしょう。

複雑な彼女の心理状態を覗いていきましょう。

愛されることを知った

ナンシーは虚言癖の強い女性です。

その原因はおそらく周囲にかまって欲しい自分を認めて欲しいという欲求でしょう。

彼女は常に偽りの自分を演じており、嘘が無くては人との繋がりを築けない人物といえます。

しかしエレンは偽りの姿の自分ではなく、本当の自分を認め愛してくれたのです。

ナンシーは深い愛を知り、愛されたという幸せで満たされたのではないでしょうか。

去り際に微笑んでいたのは、幸せだったという思いがあったからと考察出来ます。

嘘から解放された

ナンシーはエレンたちと出会い、共に過ごすうちに嘘をついていたことを悔いています。

それまでの彼女は、嘘を何とも思っておらず悪気もなかったのです。

しかし潜在意識の中で、嘘をつく自分を卑下していたのではないでしょうか。

気がついたら嘘をついており、無意識化で嘘は連鎖していた…。

そんな状態だったのかもしれません。

彼女はエレンから愛されることで、虚言癖から解放されたのです。

始めて嘘をつくことに罪悪感を感じることが出来、嘘をつきたくないと思えたのでしょう。

これまでの醜い自分から解放された、そんな気持ちがあったのかもしれません。

エレンたちへの罪悪感

愛

ナンシーは、エレンとレオの夫婦を騙した罪悪感にさいなまれていたことでしょう。

5歳で行方不明になった娘と偽り、夫婦の心を傷つけた自分を惨めだと思ったのです。

ウソがばれた後も、二人は優しく接してくれました。

包み込まれる愛に対して、自分が犯した罪の大きさに涙を流したのではないでしょうか。

嘘をつかなければよかった、そう思っていたに違いありません。

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